第十九話 風穴のジャコブ
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案を練っていると……
「それともう一つ、重大なことが有ります。現在、アントワッペン市内では市民による暴動が起こっています」
「なんだって!? 暴動って……何がどうなっているのさ?」
「市内の全ての門を閉鎖して、外部との連絡を絶とうとしたのでしょう」
「そ、そんな事をすれば、町中の商人は黙っていないでしょう!」
フランシーヌが驚いたように声を上げた。
「……早い事、暴動を鎮圧しないと。クーペ、屋敷を囲っている密偵団員に暴徒鎮圧を命じてくれ」
「……彼ら、人質の事はよろしいのですか?」
「僕たちだけで人質救出に動いても、人員が少なすぎて手が回らず人質に被害が出るかもしれない。上手く立ち回れば良いんだろうが、そんな綱渡りみたいな……博打じみた事はできないよ」」
「……なるほど、状況が動かない人質救出よりも、早急な対処が必要な暴徒鎮圧を……」
「そんな所だ……それと、肝心な事を聞き忘れてたけど、団員はスリープクラウドとか魔法の道具とか使えるんだよね?」
「もちろんでございます」
その後、マクシミリアンとクーペは、暴徒鎮圧について詰めの協議を行っている間、フランシーヌは大ホールを見張っていてもらっていると……
「あのっ、殿下、誰か来ます」
と、フランシーヌが告げる。
「誰だ?」
「メイジみたいです」
三人は小窓から覗き込むと、長い鼻のメイジが取り巻きと思われるメイジ数人と供に、警備の責任者と何やら話していた。
「まずいな、メイジの数が増えたぞ」
「いかがいたしましょう?」
「そうだな……」
三人は小窓から離れ、マクシミリアンとフランシーヌが、増えたメイジたちについて思案を巡らせている、一方で、クーペは可愛いメイドの顔で難しそうな顔をしていた。
「どうしたクーペ」
「いえね、殿下。あの長鼻の男、多分ですが、風穴のジャコブっていう奴ですよ」
「かざあな? ああ、二つ名か」
「そうです、風穴の。あの男は以前トリステインの騎士だったそうですが……まあ、それと知れた悪党ですよ」
クーペは、風穴のジャコブについて、上司殺しと公金横領等々を説明した。
「……そんな奴が居たのか」
「相手は腕利きです」
「う〜ん……」
マクシミリアンが小窓から、もう一度ジャコブを覗くと……
「あっ!?」
突如、ジャコブは人質の貴族一人の頭を魔法で打ち抜いた!
「キャアアアア!」
「な、なんで?」
人質たちの悲鳴が大ホールに響いた。
「王子! マクシミリアン王子! 聞こえるか!」
「あいつ……なんて事を!」
「そこから大ホールを見ているのは分かっている! 人質
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