第一話 植物園でその十三
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「やっぱり」
「そうか、進学か」
「八条大学にね」
優花は進学先のこともだ、龍馬に言った。
「行きたいね」
「やっぱりあそこか」
「うん、あそこに行ってね」
そのだ、八条大学にというのだ。
「そしてね」
「そうしてか」
「大学まで出て」
そしてというのだ。
「ちゃんと就職したいね」
「就職か」
「うん、鉄道会社にね」
「そういえば御前鉄道好きだよな」
「昔からね」
優花は微笑んで龍馬に答えた。
「だから車掌さんは無理でも」
「駅員さんとかか」
「そういうお仕事に就きたいね」
「じゃあ八条鉄道か」
八条グループの基幹産業の一つだ、全国に路線と駅を持つ日本一の私鉄である。
「あそこか」
「そうかもね」
「じゃあ経済学部か」
「うん、あそこに進学しようって考えてるよ」
「じゃあ頑張れよ、俺はな」
龍馬は優花の話を聞いてだった、そのうえで自分のことも話した。
「海だな」
「龍馬は海が好きだからね」
「海の仕事がいいな」
「船とか港とか」
「ああ、海を見て仕事が出来たら」
目を輝かせつつだ、龍馬は優花に自分の将来の夢を話した。
「最高だな」
「じゃあそっちの方に進学して」
「八条グループは海の仕事もやってるからな」
彼等が通っている八条学園高等部を経営している世界屈指の巨大企業グループはというのだ。
「そこに就職したいな」
「そうだね、それじゃあね」
「ああ、お互いに頑張ろうな」
「夢に向かってね」
二人で笑顔で話すのだった、将来のことを。二人はこの時はまだ彼等に誰も考えられない未来が待っていることを知らなかった。
第一話 完
2015・12・18
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