第一話 植物園でその十二
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「時間があるから凝ったお料理が出来るから」
「優子さんの好きなものをか」
「作るよ」
こうにこりとして言うのだった。
「そうするから」
「そうか、じゃあ頑張れよ」
「お料理もね」
「御前の料理美味いしな」
龍馬は小柄な優花の顔を覗き込む様にして言った。
「優子さんも喜ぶな」
「うん、毎日喜んでくれてるよ」
「それは何よりだな」
「龍馬も来る?」
優花は優しい笑顔で龍馬に誘いをかけた。
「それで久し振りに三人で食べる?」
「いや、今日はな」
「無理なんだ」
「そうなんだよ、ちょっとな」
どうにもという口調で返した龍馬だった。
「今日は家の方で仕事があってさ」
「仕事って」
「家の模様替えな、お袋がまた家の模様替えしててさ」
「そのお手伝いでだね」
「ああ、今日は無理なんだよ」
こう残念そうに言うのだった。
「悪いな」
「悪くないよ、じゃあまたね」
「今度な」
「三人で食べようね」
「ああ、そういえば優子さん彼氏の人と上手くいってるよな」
「よくデートに行ってるみたいだよ」
優花はにこりと笑って龍馬に答えた。
「帰り遅い時も多いしオフの日もね」
「よく外に出たりしてるか」
「そういうの見てたらね」
「じゃあ結婚も近いか?」
「あっ、結婚はまだするつもりがないってね」
その話になるとだ、優花はすぐに言った。
「姉さん自身が言ってたよ」
「ないのかよ」
「うん、僕が高校を卒業してね」
「それからか」
「そう言ってるんだ」
「高校卒業まではか」
「親代わりだからってね」
そう言ってというのだ。
「僕が高校卒業してね」
「それからか」
「結婚するって言ってるから」
「ってことはもう結婚することがな」
龍馬は優花のその言葉を聞いてわかった、優子の事情を。
「既定路線なんだな」
「そうみたいだね」
「御前が高校卒業してって言うからにはな」
「つまり僕が高校卒業したら」
「すぐに結婚するんだろうな」
「そうだよね」
「じゃあ卒業しような」
龍馬は優しい笑みになって優花に言った。
「高校は」
「うん、高校を卒業してね」
「そこからはどうするんだ?」
「進学したいね」
すぐにだ、優花は自分の考えを話した。
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