第四十六話
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情報集めに出ていた風魔が、私がおじいちゃんから与えられた一室に戻ったのを見計らって姿を現した。
豊臣軍三万の兵が向かっている、という話なんだけど、連中は小田原付近に陣を張って滞在しており、攻めて来る気配は無い様子。
それどころか戦が始まっても城が落とされない限りは動くつもりはないのだとか。
まぁ、北条に攻めて来ないのは豊臣に下ったわけだから当たり前としても、
伊達が攻めて来ても動くつもりがないって、一体どうするつもりなのよ。
「ちょっと待って、それでどうやって伊達と戦うつもりなの?」
「『石田三成、あの男がいるだろう。豊臣は、石田一人で伊達軍一万を壊滅させるつもりだ』」
どんだけすごいのよ、あの三成さんは。いやいや、どう考えても無理でしょ。
そんな無謀をやってのけられるってところで、あの人が婆娑羅の力を持ってるってのは分かるよ。
分かるけども、一対一万は普通に考えなくても無茶だっての。
いくら婆娑羅者とはいえ、そんな無茶を平然とやってのけられるほど便利な力でもあるまいに。
そんなん平然とやってのけたら、それこそ完全なチートキャラだっつの。
「『石田の実力は侮れない。西国では一人で数々の城を落とした猛者でもある。
つい最近では北条の支城を一人で落としているからな』」
「信じられない……本当にチートキャラもいいところじゃないの。
というか、そんなに強い奴なら名前くらいは知られてても良くない?」
「『そこが石田三成という男の不思議なところでな、名を上げることにも位にも興味が無いそうだ。
全ては豊臣秀吉の為になればそれでいいと、望むのはそれだけなのだそうだ。
だから城落としの功績は全て豊臣のものになっている』」
嘘でしょ……いや、風魔が私に嘘を言う理由が今のところは無いはず。
伊達を撤退させたい私と小田原に攻め込ませないようにする風魔との目的は一致している。雇用関係以前に。
だからこの情報は信用して良い。荒唐無稽すぎるけど。
「伊達軍は何処まで来てる?」
「『もう目と鼻の先だ。明日の夕方には到着するだろう……連中、想像以上に侵攻が早い』」
そりゃ、あの連中の馬術の腕は並じゃないもん。
本来徒歩で行動する足軽だって馬に乗せる伊達において、馬術の腕は何処にも引けをとらないわけだし。
下手をすると近隣諸国じゃ、伊達の武家に生まれた子供は立って歩くよりも早く馬に乗って移動をしてる、
なんて妙な噂流されるくらいに馬術に長けてるんだから。
「向こうは今のこの状況を知ってるの?」
豊臣三万の兵を相手にしようってことを。
そして、北条と豊臣が手を結んだってことも。
「『知った上での行動らしい。“竜の右目”も勝てると踏んでの行動だからな』
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