第四十六話
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いのよ」
正直にそう言ってやれば、石田は物騒な気配を押し込めて私をじっと見ている。
腹の内を探ってやろうと思うが、どうにもそれを探ることが出来ない。
……何だろう、この人読めない。
そりゃ、超能力者じゃないから考えてることまでは分からないけれど、この人は特に分からない。
大体普通は何を考えてるかな、ってのは察しがつくけど……風魔並に感情が見えてこない。
「……貴様は豊臣に下る気はないのか」
静かに吐かれた言葉に、私は軽く苦笑してみせておく。
半分は、得体の知れない人間と接しているという微かな動揺を誤魔化すために。
「ないわね。貴方も仮に豊臣以上に強いところがあったからと言って、そこに下る気はないのでしょう」
「当たり前だ。私は秀吉様の為にあるのだ。他の誰にも額づく気など無い」
ほ……これは狂信的だなぁ。
うちの小十郎とは違う……いや、どっちかと言うと幸村君に似たタイプかな?
でも、ザビー教信者の方がどっちかと言うと近いかなぁ……。
……いかん、ザビーとか思いだしたらサンデー毛利のことを思い出してしまうじゃないの。
さっさと削除しよう。私の記憶の中から。
「明日……伊達が小田原に攻め込めば、私が全て斬る。
半兵衛様はこの戦には御出になられてはおらん。あの方は大阪でまだやることがあると残られた……
そもそも、あの三万の兵は威嚇の為に置いているに過ぎない。実際に動かすつもりもない」
んん? そんなこと、敵に教えちゃってもいいわけ?
「一人で一万の兵を相手に?」
「たかが一万程度、私一人で十分だ」
狂っているのかと思うくらいにさらりと言うもんだから、流石にこれには圧倒されてしまった。
これは伊達でも酔狂でもなく、事実なんだと思うには十分すぎるほど真っ直ぐな目をしている。
たった一人で城を落とし続けた男、この話は真と考えて間違いない。
となれば、この男が纏う空気の異様さにも血の臭いにも説明がつくというものだ。
「伊達の人間だと知って、斬らない理由は何?」
「半兵衛様に、もし竹と雀の金糸細工の黒い着物を纏った者がいたら、それは斬るなと言われている。
稲葉山城で一方ならぬ恩があるゆえ、命を奪うなと。あの方が恩があると言うのならば、私に斬る理由はない。
いや、半兵衛様の恩人であるのならば、私にとっても恩人であるのだ。斬ることなど出来るはずもない」
豊臣秀吉と竹中さんに狂信的なまでに服従しているわけなのね。この発言でよく分かったわ。
……しかし竹中さん、何処まで予測済みで動かしたのかしら。
何だか考えれば考えるほど全ての事柄の裏で、糸を引いているように思えてならないわ。
一言二言話をして、石田は部屋を出て
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