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竜のもうひとつの瞳
第四十六話
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 「なっ……ちょ、マジで!?」

 流石にこれには驚きの声を上げてしまった。
だって、まさか豊臣と北条、両方を相手にして勝てるって踏んでるなんて思わないじゃないのよ。

 「『豊臣軍の力を完全に量り違えている、といったところだろう。
このまま突っ込めば、間違いなく負け戦になる……策はある程度練っているようだが、あの男に対峙して勝てるかどうか』」

 しかしまさか、小十郎まで勝つ気でいるとは思わなかった……まぁ、数の不利を今までどうにかしてきたわけだから、
今回もっていうのはあるのかもしれないけど……この状況でそれは不味いでしょう。
秀吉がどんだけの力を持ってるのか分からないけど、あの竹中さんがなあなあで済ますわけがない。
三万の兵を有効活用してぶつけて来ると考えた方がいい。
っていうか、竹中さんの危険性は文でしたためて送ったはずなのに。
あの馬鹿、一体何を見てたってのよ。本当にもう。

 敵を軽視するなって言ってんのになぁ……政宗様ったら、いつもの悪い癖が出たのかしら。
それに小十郎だって姉に散々敵を侮るなかれと叩き込まれてるはずなのに。
時間が経ってるから忘れちゃってるのかしら。今度姉に話をして、もう一回教育を施してもらうように頼まないと。

 突然風魔が姿を消す。
一体どうしたのかと思っていたところで、とても静かだけれど廊下から足音が聞こえることに気付いた。

 「……宜しいか」

 「どなたでしょう」

 「……豊臣の配下、石田三成と申す」

 こんな時間に女の部屋を訪ねてくるとは……好色って感じには見えなかったけど、一体何の用だろう。
戸を開けて入るように促せば、特に表情を変えずに石田が入ってきた。
勧められるままに座して、無愛想な表情のまま静かに口を開く。

 「……貴様、伊達の者だろう。何故豊臣が優位になるように手を回している」

 あちゃー……やっぱバレてたか。つか、興味示したのもそういうわけですかい。私が伊達の人間だって知って。

 「手を貸したつもりはないんだけれどもね。
あのおじいちゃんの話を聞いてあげたら、一人で納得して従属しただけよ。
というか、端から決めてたんじゃない? 豊臣に下るっていうのは」

 「では、何故貴様がここに留まる。豊臣に歯向かうためか」

 今にも刀を抜きそうな物騒な気配を感じながら、私は小さく溜息をついた。

 「伊達を引かせたいのよ。豊臣三万に対して伊達は一万、この三万を指揮するのが竹中さんだとすれば、数の不利を覆すのは難しい。
決定的な負け戦になる……まぁ、それなりの軍師でも苦戦は免れないでしょうけど。
でもね、うちの主は生半な説得を聞き入れる性質じゃないから、きちんと情報を得て引くように進言しないと納得しな
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