第一話 植物園でその九
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「あるからな」
「そういう話あるな」
「世の中不思議なことに」
「人間の身体は神秘の塊っていうけれど」
「この話が一番不思議だな」
「あと男性が子供を産む」
こうした事例もあるという。
「いや、本当にな」
「世の中不思議だよ」
「今の医学で語れないこともある」
「そういうことだな」
「ええ、現代医学はね」
優子はここでまた言った。
「完全じゃないわ」
「だから証明出来ないこともある」
「医学の視点からも」
「男性が子供を産んだりしたり」
「性別が変わったり」
「本当に不思議だな」
「こうした話は」
「私が男になったら」
優子は自分のことから言った。
「どうなるのかしら」
「蓮見先生なら合うんじゃない?」
「先生ボーイッシュな感じがするし」
「それならな」
「あるんじゃないかな」
「そうかもね、宝塚みたいになったら」
自分で笑って言う優子だった。
「面白いわね」
「あはは、そうきた?」
「宝塚だね」
「つまり男装の麗人」
「そっちだね」
「悪くないわね」
余裕のある笑顔で言う優子だった。
「それも」
「確かに蓮見先生背はあるし」
「それに姿勢もいいしね」
「男装の麗人似合うね」
「ズボンもよく穿くしね」
「悪くないわね、ただね」
ここでだ、優子はふとだった。
彼女の弟のことを思い出してだ、こうも言ったのだった。
「私の弟はもっとね」
「弟さん?」
「そういえば弟さんと二人暮らしだったね」
「弟さんってことは女装?」
「弟さんが女装したら」
「私が男装するより似合うわね」
優花の方がというのだ。
「ずっとね」
「そんなに可愛いんだ、弟さん」
「女の子みたいな」
「そんな感じなんだ」
「そうなの、美形っていうかね」
その弟の顔を思い出しつつだ、優子は同僚達に話した。
「美少女ね」
「そんなに女の子みたいなんだ」
「可愛いんだ」
「ええ、美少女って言った方がね」
まさにというのだ。
「いい感じなのよ」
「そんな子なんだ、弟さん」
「じゃあ実際に女装したらかなりいいかな」
「一体どんな感じかな」
「蓮見先生の弟さんって」
「画像あるわ」
優子は優花の顔を見たいという感じになった同僚達にだ、自分の携帯電話を出してそこに保存してある自分と優花が一緒に写っている画像を見せた。
優子が優花の両肩に自分の手を当てて彼の後ろで立って微笑んでいる。そして優花も微笑んでいるが。
その彼の顔を見てだ、同僚達は言った。
「確かに」
「可愛いな」
「女の子じゃないよな」
「そう言われても不思議じゃないけれど」
「これで男の子なのよ」
優子は同僚達の反応を予想していたので冷静に返した。
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