罪と犠牲
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突き飛ばそうとして出した手に、相手の手が絡まった。その理由は簡単。自分がしようとしたように、相手も彼を逃がそうとしたからだった。
両者が相手を思い、咄嗟に取った行動。だが、時にその思いやりが、悲劇を招くことになるのかも知れない。
「しま・・・」
「ごめ・・・」
二人とも予想してなかった展開に何もすることができない。手を取り合う形になった二人の妖精。彼らの体に、ドラゴンの爪が突き刺さろうとした。
だが、その瞬間・・・彼らの前に一人の男が割って入る。
ザシュッ
目の前で吹き飛ぶ一本の腕・・・それはジルコニスの魔の手から幼き竜を守ろうとした青年のものだった。
「っ・・・」
「「カミューニさん!!」」
ヒスイ姫を守るために彼女のそばにいたカミューニ。しかし彼は、ジルコニスの狙いがわかったその時に、彼らを守るためにここまで飛んできていたのだった。
「ほほぉ。一人増えたが・・・」
結果的に邪魔をされた格好となったジルコニス。だが、彼は何も慌てるようなことはしない。
「構わん!!三人まとめて食らってやろう!!」
カミューニものともシリルたちを食いつくそうと、再度体を貫こうとするジルコニス。
片腕がなくなったことで、体の均衡が崩れたカミューニ。彼は崩れ落ちようとする自身の体をなんとか踏ん張らせ、シリルの胸ぐらを掴む。
「生きろ、シリル、ウェンディ」
倒れかけのカミューニ。彼は掴んだシリルの体を無理やり横に投げると、彼の隣にいたウェンディへとぶつけ、彼の魔法である波動を放ちながら二人を吹き飛ばす。
「きゃっ!!」
「ぎゃっ!!」
投げ出された二人は地面に背中から落とされてしまった。が、そのおかげでジルコニスの攻撃範囲からは向け出ていた。
そして彼らを逃がしたカミューニの体に・・・
ジルコニスの指が突き刺さった。
「きゃあああああ!!」
「カミューニさん!!」
助けられた二人の妖精は、目に涙を浮かべ、絶叫していた。
(私にはもう・・・生きる資格がない・・・)
それと時を同じくして、青年と同じギルドのこの女性は、物思いに更けていた・・・
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