罪と犠牲
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した彼女は、ローグを殺すことをしなかった。
すると彼女は、歩いていた足を止め、その場に崩れ落ちる。
(これが・・・私・・・)
歯軋りをさせ、手に力を込めるウルティア。彼女は現在のローグを一瞬でも殺そうと考えてしまった自らの心の邪悪さに押し潰されそうになっていた。
(思いとどまった・・・殺さなかった・・・だけど、そこじゃない・・・)
結果だけ見れば、ウルティアはナツとの約束通り、現在のローグには手を出さなかった。しかし、彼女にとって重要なのはそこじゃない。
(私は・・・何の罪もない人間を・・・殺そうとした!!極めて短絡的に・・・人の命を消そうとした・・・)
例え如何なる理由があろうとも、人を殺めることはあってはならない。ウルティアは、闇ギルドにいた頃、命令であったとはいえ、たくさんの街を襲い、人々を虐殺してきた。そんな彼女はグレイとの戦いで目が覚め、正しい道を歩んでいこうとしていた。
それなのに、今回・・・彼女はやってはならない罪へと、再び足を踏み入れかけたのだ。
(私はやっぱり変わってない・・・)
震える手のひらを見つめているウルティア。それに、不意に一滴の水滴が落ちてくる。それは、ウルティアの罪の意識を感じ取っての涙だった。
(何が魔女の罪よ・・・私の罪は・・・みそぐことができない・・・)
流れ落ちようとする涙を溢さないようにするためなのか、はたまた何かに思いを馳せているのか、ウルティアは赤く光る月が浮かぶ夜空を見上げ、ただその場に膝をついていた。
「行くよ!!ウェンディ!!」
「うん!!」
視線を交わし、同時にジルコニスへと向かって駆け出す二人の妖精。
「水竜の・・・」
「天竜の・・・」
「「鉤爪!!」」
シリルとウェンディ。二人の蹴りが同時にジルコニスの顔面に食い込む。
「おっ!!」
ジルコニスは小さいながらも、いい蹴りを放ってくる二人の幼子に少々驚いているようである。
「水竜の劔角!!」
「天竜の咆哮!!」
そんなジルコニスに対し、二人は間髪いれずに攻撃を行う。シリルとウェンディは地面に着地すると、少年は素早く水を体に纏わせ突進し、少女は彼に向かって風の渦のブレスを放つ。
少女の放ったブレスは先をいく少年を飲み込むと、彼女のブレスの特性である回転により、少年は体を何回も回転させてジルコニスへと頭突きを食らわせる。
「ぐっ!!」
それによって怯むジルコニス。それを見た二人は再び、タイミングを合わせて両サイドからジルコニスへと接近する。
「ぬっ!?」
すぐに意識を取り戻したジルコニス。彼は二手に別れた少女たちを見て、どちらを狙えばい
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