第四十五話
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るというのは予想が出来る。
普通はこの不利を危機として感じるもんだけど、政宗様の場合状況が厳しければ厳しいほど燃えるってタイプだから、
おそらく嬉々として突っ込もうとするのは目に見えてる。
小十郎が諌めて引き止めてくれると有難いんだけど、何かあの子も政宗様が成長されるにつれて
諌めが甘くなってきたような気がするしなぁ……
織田を倒して勢いに乗ってる今、小十郎じゃストッパーにならないと考えておいた方が良いのかもしれない。
「それでのぉ、今城にいる使者殿が剣の達人でな、伊達の小倅なぞ恐ろしくはないほどの腕前を持っておるのじゃ!」
政宗様を凌ぐ剣の使い手、か。
それは会ってみたいような気がする。おじいちゃんの世話を任されてる今なら、会う機会は出てくるか。
焦って会いに行くよりも今は情報を先に仕入れることを重点的にやった方が良いかもしれない。
夕餉の時間になっておじいちゃんに膳を運ぶ。
下座には見知らぬ逆三角形の前髪が印象的な目つきが嫌に鋭い男が座っている。
不機嫌なんだかどうなんだか分からない厳しい顔をする男は、特別何も言わずに食事を摂っていた。
……あれが、豊臣の使者?
「石田殿、御口に合いますかな?」
「……特に不味いということはございませぬ。御気になさらず」
おまけに愛想も無い。ここは嘘でも美味いって言おうよ。
使者なんだからさぁ……破談になっちゃ困るんじゃないの? っていうか、何を考えてあんなの送ってきたんだか。
けど、おじいちゃんは特に気にした様子も無く、これが美味いだの何だのと、ほとんど独り言のような感じで話をしている。
使者は眉間に軽く皺を寄せていたが、特に怒り出すわけでもなく淡々と食事を済ませている。
うーん……アレは人付き合いが苦手なタイプかしら? 本当、何でそんなんを使者として送り込んだのかしら。
「……ところで北条殿、そちらの女御は」
「お、おお、これはワシの世話役でな。名を小夜というのじゃ。
女だてらに侍を志しておってな、御恥ずかしながら豊臣に従属するのを決めたのも、この小夜のお陰でもあるのじゃ」
厳しい表情をしている男の眉間の皺が少しばかり緩くなったのを見て、私は愛想笑いをしつつ怪訝に思った。
何故緩くなった? 不本意だけど豊臣への従属を促した立役者だから?
「氏政様」
軽く紹介を促してみると、おじいちゃんが上機嫌のまま私に向かって唾を飛ばす……じゃなかった、説明してくれる。
「お前さんにも紹介せねばならんかったの、こちらは豊臣の配下石田三成殿じゃ」
この人が石田三成か……何というか、随分と嫌な空気を纏った男だなぁ。血の臭いが抜けてないもん。
上座と下座で割合距離があるんだよ?
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