前編
2.最初の客
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古〜。終わったクマ〜」
「……クカー」
髪の汚れを落としてキレイになった暁ちゃんは、上機嫌で加古を引きずって帰っていった。しかし加古のねぼすけっぷりは筋金入りだな。暁ちゃんに引きずられても目覚めなかったぞ?
「まぁ、あれが加古だクマ」
「アイツっていつもあんな感じなの?」
「そうクマ。本格的に寝に入ったらそう簡単には起きないクマね」
「ほーん……艦娘って個性的だなぁ」
「ホントそうだクマ。ついてけないクマ」
他人ごとのように球磨はこう答えるが、この場に100人の人間がいれば、その全員が『お前が一番個性的だ』と思うに違いない。
「ところでなんで球磨を残したクマ?」
「いや、だってお前、まだ髪乾かしてないだろ? 乾かしちゃるからシートに座りな」
「うむ。くるしゅうないクマ。球磨の髪を乾かすことが出来る権利をやるクマ」
「いいから黙ってさっさと座れよ」
散髪台のソファに座った球磨の、頭に巻かれたバスタオルを解いてやる。バスタオルが多少水分を吸ってはいたが、球磨の髪はまだまだぬれそぼっているようだ。
「さっきまで“自分でやれ”って言ってたのにどういう風の吹き回しクマ?」
「だってお前、他の二人よりも長い時間手伝ってくれてたろ?」
「そうクマ?」
「加古の髪も乾かしてくれたし」
こんなどうでもいい会話を繰り広げながら、ドライヤーの風を当てて球磨の髪を乾かしてやる。やっぱこいつの髪は他の二人に比べても、もふもふしてて手触りがいいな。
乾かしている最中、その直立不動のアホ毛が気になった。これだけ激しく風を当てているのに、一向になびく気配のないアホ毛。一体どんな育ち方をしたらこんな強靭なアホ毛が育つんだよ。
「いつかキレイに整えてやる」
「楽しみに待ってるクマ」
髪をキレイに乾かした後は、球磨の肩から首筋にかけてマッサージをしてやった。妖怪霧吹き女と化した時もあったが、一番長い時間手伝ってくれた球磨だけへの特別サービスだ。首筋をグリグリしたあとは、肩の筋肉のコリをほぐしてやる。
「一番がんばってくれたからな。特別サービスだ」
「ぉぉぁああ……たまらんクマ……」
気持ちよさそうなのはいいんだが、なぜおっさん声なんだお前は。お前は仮にも女だろ。
「仮にもとは失礼な言い草だクマ……うぁぁぁぁああぁぁ」
「はいはい……」
球磨の肩をほぐしていて気付いたが、やはり少し硬くなっている。この硬さは日々戦闘を重ねる軍人だからか、それとも肩がこるほどの激務に追われているからか……
「なぁ球磨」
「あおぅぅううぅ……クマ?」
「お前さ。毎日大変なの?」
「大変といえば大変クマね。出撃があったら深海棲艦と戦わなきゃいけないクマ」
そうだよなぁ……死人
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