前編
2.最初の客
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が死力を尽くして血と汗を流し涙をこらえてがんばったおかげで……やっと完成したクマッ……!」
「お前はただ俺の頭に霧吹きしてただけだろうが……」
俺の横で誇らしげなドヤ顔をしている妖怪霧吹き女はとりあえず置いておいて……
「ところでさ。片付けを手伝ってくれたしさ」
「ん? ハルどうしたの?」
暁ちゃんがきょとんとした顔で俺を見る。球磨や加古に比べると、暁ちゃんは天使だなぁ……重くて持てなかったシャンプーのボトルを7回ぶちまけた事実はとりあえず無視するとして。
「みんなにはこの店のお客さん第一号になってもらいたい」
「え? いいの?!」
「ホントクマ?!」
「うう……寝かせ……おおぅ……」
「ホコリを落とす意味でも、シャンプーをサービスさせてくれ」
球磨はとりあえず置いておいて、実は暁ちゃんと加古が手伝いに来てくれた時から、この子たちに感謝の意味を込めて、このみんなで作り上げた俺のバーバーちょもらんまの最初のお客になってほしいと思っていた。これは長い時間忙しく動きまわってくれたみんなへの、俺が出来る精一杯のお礼だ。
この提案をした瞬間、球磨と暁ちゃんの目がキラキラと輝いた。二人のこの好奇心旺盛な反応を見る限り、シャンプーのサービスは受けがいいようで一安心だ。
「んじゃー誰が最初だ?」
「ハイハイ! 球磨が一番だクマ!!」
「暁は最後でいいわよ! なんせ一人前のレディーなんだからッ!!」
「じゃあ私は2番目で……順番来たら起こし……クカー」
最初の予想では球磨と暁ちゃんの間で1番を取り合うという骨肉のバトルが繰り広げられると思っていたが、そこはさすが一人前のレディー。レディーの余裕のおかげで、晴れてバーバーちょもらんまの処女シャンプーは球磨となった。
「クマクマっ」
晴れてお客様第一号になった球磨をシャンプー台に案内し、俺は球磨を仰向けに寝かせ、球磨の顔にタオルを乗せた。元々この店舗に備え付けだったのはうつ伏せ式のシャンプー台だったのだが、仰向け式シャンプー台にこだわりのある俺は、わざわざ仰向け式のシャンプー台用のソファを発注していたのだ。
「かゆいところがあったら言って下さいねお客様〜」
「了解だクマ〜」
この奇っ怪なアホ毛も含めて球磨の髪をシャワーで濡らし、シャンプーを泡立てて髪の汚れを落としていく。これだけすさまじいアホ毛の持ち主なくせに、彼女の髪は柔らかくて触れていて心地いい、もふもふした肌触りの髪だ。
「お湯の温度はどうだ〜?」
「ちょうどいいクマ〜」
「そいつはよかった」
「ぉぁあああ〜……たまらんクマぁ〜……」
なんだかおっさんのようなだみ声を上げる球磨。少女にあるまじきデスボイスは問題だが、満足してくれているようで何よりだ。
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