前編
2.最初の客
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再度店内に鳴り響いた。
「いでぇえ!! だから人のことをやすやすと張り倒すのはやめろッ!!」
「なんか失礼なことを言われた気がしたクマッ!!」
「いいからダンボールを開けろよダンボールを!!」
半ギレの俺に促され、球磨は俺に背中を向けてダンボールを開け始めた。こちらに背中を向けていて表情は見えないが、球磨が怒りを押し殺しているのが手に取るように分かる。
「クマァ〜……!!」
だって背中から湯気出てるんだもん……こええよ……あとで何されるんだよこええよ母ちゃん……。
「そ、それはそうと……」
とりあえず噴火寸前の桜島のように全身から憤怒の煙を上げている球磨は放っておき、俺は加古に挨拶をするべく加古の方を見たのだが……
「くかー……」
だめだこりゃ。立ったままで熟睡してる……。
「んー……暁ちゃん、一つ頼まれてくれる?」
「いいわよ! なんせ暁は一人前のレディーなんだから!」
暁ちゃんという存在のありがたみが、傷だらけの俺のメンタルに染みこんでいく……一人はやたらとおれに暴力を振るう妖怪アホ毛女……もう一人は立ったまま眠る妖怪ねぼすけ女……暁ちゃんしかまともな子はいないのかこの鎮守府は。
「えーと……とりあえずこの加古ちゃんを、あっちの散髪台に連れて行って寝かせてあげて」
「ぇえ〜? でも加古も手伝いに来たのよ?」
「手伝ってもらいたいのは山々だけど……」
俺は自然と加古の方に目線をやり、暁ちゃんもつられて加古の方を見た。加古は今、鼻から巨大な鼻提灯を出したり引っ込めたりしながら、直立の姿勢で眠っている。
「これじゃ仕事は無理だろう……」
「そ、そうね……じゃあ暁が加古の分まで働くわ! だって一人前のレディーなんだから!!」
ありがとう、ありがとう。暁ちゃんの優しさが今の俺には何よりも貴重だ。背後には今まさに溶岩をたれ流さんばかりに怒り狂った妖怪アホ毛女が……
「……球磨のアホ毛が反応したクマッ?!」
やっべ。あいつは的確にツッコミを入れてくるからな……用心用心っと……。
その後、夢の世界との間を漂う加古以外の俺達3人は、あまり作業効率は一人の時と変わらなかったものの、和気あいあいとした雰囲気の中で店舗の準備を進めていった。
「暁ちゃん、あっちにあるシャンプー取ってきてくれる?」
「分かったわ! 一人前のレディーに任せておいて!!」
暁ちゃんはフットワークも軽く、本当によく動いてくれる。出来るかどうかは置いておいて、暁ちゃんに頼めばがんばってくれるという安心感がたまらない。
「ハル、コンディショナーを見つけたけどどうするクマ?」
「とりあえずそこ置いとけよ」
「……なぜ球磨に対してそんなに冷たいのか理解に苦
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