前編
2.最初の客
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点の重要度はあまり高くないため、司令部からの支援はあまりアテにならないそうだ。
おかげでこの鎮守府は常に資源が枯渇状態。だから施設の整備をする余裕も人員もなく、こうして施設内はズタボロの様相を呈しているとのことだった。まぁ最近は深海棲艦のせいで資源も貴重になっているし、あまり重要でない土地なら、取られても痛手はない。そういう腹づもりなのだろう……と提督は少し悔しそうに語っていたのが印象的だった。
「で、せめてここで頑張る子たちのために、少しでも慰安施設を充実させたいと思ってな。艦娘たちからの要望も大きかった美容院を作りたかったんだが……」
「来たのは床屋の俺ってことかー……」
「ああ。まぁ髪を切ることに変わりはないし、ハルの経歴なら別にいいかなと思って」
テーブルに並べた俺の履歴書と職歴書をちらっと見たあと、提督はそう言いながら手に持ったコーヒーをすすった。自慢じゃないが俺は一応美容師としての免許も持っていて、実際に美容師として働いていたこともある。バーバーちょもらんまで働くのは俺一人だし、理容室としても美容室としても機能させることは可能だ。
「ところで提督さん、俺の店は?」
「ああ、すでにテナントは開けてある。申請されていた必要品目や荷物はすべて到着しているから、あとはハルの方で準備を進めてくれ」
「了解です。じゃあ早速テナントに行きますね」
「了解した。準備にはどれぐらいかかりそうだ?」
「俺一人ですから結構時間はかかると思いますよ。開店は明後日ぐらいを予定してください」
注文した設備や商品、道具やら何やらから計算すると、今が午前中だということを差し引いても、恐らく店作りにはそれぐらいの時間がかかるだろう。さっきの女の子……球磨って言ったっけ。あの子のアホ毛も気になるし、提督の髪もかなり伸び放題の様相を呈している。ここのみんなにはもうしばらく待ってもらわなければ……などと考えていたら、提督の方から、まさに渡りに船な提案がされた。
「分かった。では球磨を手伝わせよう」
「え……いいんすか? でも戦いで忙しいんでしょ?」
提督の提案は確かにありがたい。バーバーちょもらんまはこじんまりとした店舗ではあるけれど、さすがに一人で開店準備を進めていくのは大変だ。お手伝いさんがいると作業もはかどって開店を早めることも出来る。
もちろん、今日明日と時間の開いている子がいれば、の話だが……
「構わんよ。今は戦闘も落ち着いてる。今日と明日ぐらいなら戦力が少なくなってもどうとでもなるだろう。実はすでに球磨に話は通している」
「そうですか」
「それに、あの子達も楽しみにしてたんだ。早く開店させてやって欲しいしな」
そう語る提督の顔を見て、なんだか故郷のオヤジを思い出した。この人にとっては、
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