前編
1.初対面はコークスクリュー
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その通りですキリッ』とか答えるアホはおらんだろ」
「なるほど。確かにそのとおりだクマ」
いちいち語尾に変な言葉をつけながら、その女の子はジト目で俺を見据える。よく見ると巨大なアホ毛が俺に切られたがっているようにうにうにと動いていた。何なのこの子のアホ毛キモいんですけど。
「とりあえずちょっとこっち来るクマ」
その女の子はジト目のまま扉を開き、ちょいちょいと俺に手招きをして鎮守府に招き入れた。
「なんだよ立入禁止なんじゃないの?」
「そういう揚げ足取りはいいから早くこっち来るクマ」
「ほいほい」
女の子の手招きに応じて、俺が敷地内に入ったその瞬間だった。
「隙ありだクマッ!!」
その子は俺の右手を取ると……
「うおッ?!」
「覚悟するクマ不審者ぁぁああああアアアッ!!!」
素早く俺の懐に入り込み、女の子の癖に有り余るパワーで俺を一本背負いで投げやがった。投げられた俺は元々運動が苦手なこともあり、受け身も取れずモロに地面に叩きつけられ、痛みで一瞬息が止まった。
「うがッ?!! いでッ! マジいてぇえ?!!」
そうして俺が地面の上でジタバタしながら痛みに耐えていると、この女の子は思いっきり握りしめた自身の右拳を……
「クマッ!」
「がふぅッ?!!」
思いっきり振りおろし、俺の腹にえぐり込むように刺し込んできやがった。『ドフッ』という音と共にコークスクリュー気味に突き刺さった拳のおかげで、俺の肺の中の空気は1シーシー残らず絞りだされ、おれは呼吸がままならなくなった。
「かひゅー……かひゅー……」
「ふっふっふっ……このクマが不審者を成敗したクマッ!!」
気を失う寸前、そんなセリフが聞こえてきた。だから不審者じゃない……説明させろ……と言いたかったのだが……言おうとしても、呼吸という人間にとって最も大切な行動が行えなくなっていた今、言葉を発するなんて高等な行為が行えるはずがない。俺の意識はそのまま別の世界に旅立っていった。
気のせいだと思いたいが、気を失う寸前、死んだじい様が川の向こう側でこの女の子と踊っている姿が見えた気がした。じい様……そんなところでその女とツイストなんて踊ってないで、孫の俺を助けて……
『コラーッ!! 球磨! その人は……』
『クマッ?!!』
これが、俺と球磨との出会いだった。
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