第4話
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彼の予想にヤザワが頷く。そして糸目の奥にある黒目を合わせて、再度問う。
「……だから?」
「…………相変わらず他人には冷たいな」
「所詮他人ですからね」
いつもの糸目をさらに細くさせながら、ヤザワは虚空に視線を送る。
「拙者の手は、他人を包めるほど広くはない。身内大事で何が悪いのか」
ガユスの耳に、かすかに聞こえる程度の声が、車内に響いた。
ヤザワは首を横に振り、何かを振り払う。
車の空気が葛湯のように重たくなる。振り切るように、ヤザワが携帯端末を取り出して、話し出した。
「そんな事より、次の依頼ですよ。ウルムンの隣国で異貌のものどもが発生したらしく討伐依頼が流れています」
「他には?」
「これ以外だと、少し遠いか胡散臭い依頼ばっかですねぇ」
何者かが攻性咒式士を集めているなどの情報がヤザワの目から流れていく。
「相変わらず攻性咒式士の依頼は物騒な依頼ばっかりか」
「それが拙者達の仕事ですよ」
「わかっているさ」
ガユスのため息癖は治りそうもない。おもに気苦労が理由だからだ。
「場所は?」
「ハオル王国のリゲイラ海峡近くです」
「海か。たまにはいい」
車の行先は決まったようだった。
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