第4話
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で、ウルムンという独裁国家ではどうしようもないのだ。安い土地を買い取り、レアメタルを発掘しようとしたとしても、その情報を流し高く土地を売ろうとした場合も、ウルムンの独裁者ドーチェッタがその富を奪いに来る。そのまま無事に返してもらえる保障すらない。
適当にでっち上げられた罪で、処刑されるほうが高い、とガユスとヤザワは予想していた。
その予測が確かな事を、レメディウスが裏付けるように頷いていた。
無論彼等がレメディウスに、タダでレアメタル鉱山の情報を話したわけではない。
「ところでレメディウス博士。この情報を渡した俺達に幾らかのお礼を貰いたいのだが」
「勿論です。貴方達の要求は可能な限り飲ませてもらいます。その代り」
彼の意味深な発言にガユスはうなずく。
「勿論。誰にも話したりしない」
「それを聞いて安心しました」
レメディウスが手を差し出す。ガユスはその手を握りこんだ。ヤザワは期待に目を輝かせていた。
「良い取引だった」
満足そうなガユスが車を走らせていた。後ろの座席では、ヤザワが読書にいそしんでいる。
あの後、二人はレメディウスの取引でかなりの利益を得ていた。
レメディウス氏独自の咒印組成式や研究資料を得て…………ヤザワが今読んでいるのはそれだ…………他にも彼等の装備である咒式具の改造をやってもらっていた。
「第七階位の咒式発動が見えてきたな」
「…………」
ガユスの発言を無視するように、ヤザワは読書に専念している。実際彼は一度本を読みだすと、反応が全くなくなるタイプだった。とはいえ、周りが見えなくなる訳ではないようだ。
それを知っているガユスは一度彼の方に視線を送る。そのまま、数分ほど待った。切りが良くなったのだろうか。一度本から目線を外し、ガユスの方へ顔を向けた。
「全くです。拙者達が十三階梯になるのも夢ではなくなりました」
先程の発言に、ヤザワがようやく反応を返した。
ヤザワの反応が返ってきたのを皮切りに、ガユスは一つの疑問を発する。
「あれでよかったのか」
「…………何故です」
心底不思議そうな表情で、ヤザワが首を傾げた。
「彼らはレアメタル鉱山と死の商人の情報を得ました。こちらは装備が断然に上がりレメディウス氏の咒印組成式も手に入りました。何が不満なのでしょうかね」
発言にガユスは呆れたながらも口を開く。
「あそこを拠点にしたところで何ともならんだろう。それこそ、国家予算規模の金をもった集団が彼等に合流でもしない限りは」バックミラーを盗み見た。「出来ることは他の反政府組織を飲み込む程度だ。その程度ではドーチェッタの軍に踏みつぶされる。持って一年というところだろうが」
「そうですか」
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