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竜のもうひとつの瞳
第九章〜行き倒れて小田原城〜
第四十三話
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いう情報を得ておってな。迎え撃つ準備をしているところじゃよ」

 奥州の独眼竜ねぇ……確かにうちは手強いけれど、でもちょっと待って。
どうして奥州が攻めてくるところばかり考えていて、豊臣はスルーしてるんだろ。
奥州も一大勢力だけど、豊臣だって決して弱くは無いはずだよ。だって、天下人に王手をかけてるところだもん。
それを無視して奥州にだけ警戒を向けている、っていうのは……なんか違和感あるなぁ。

 「豊臣はノーマークなんですか?」

 「は? 何じゃて?」

 「だから、豊臣が攻めてきているのは対処しないんですか?」

 そう聞いてみれば、おじいちゃんの顔がみるみる青ざめていく。

 ……ひょっとして、豊臣が攻めてくるって話は知らなかったとか?
いやいやまさか……そんな情報が入ってきてないなんてことになったら、北条は余程平和ボケしてるってことじゃない。
この戦国の世において、そういう情報は家の存続に関わるから重要なのよ? 最も無視しちゃいけない情報だってのに……。

 「なっ、どういうことじゃ! 詳しく話すのじゃ!!」

 いきなり肩を掴まれて唾を飛ばしながら詰め寄ってこられたもんだから、思わず反射的に殴りつけようとしちゃったよ。
勿論、そんなことをやると高齢者虐待になっちゃうから踏み止まったけどもさ。
しかし……えー、本当に知らないんだ、この様子じゃ。

 「だ、だから……西国の方から来たんですけど、豊臣と伊達が小田原を決戦の地にしようとしているって聞いたんです。
で、それ聞いてここまで来たんですけど……雇ってもらおうと城下町に浪人者が結構入って来てるでしょ?
豊臣か伊達か、どちらかに着こうって腹の奴らが集まってるんです」

 まぁ、実際にそう聞いたわけじゃないけど、空を飛びながら町の様子をちょっと見て来たからそうなんだろうな、って中りはつく。
現代と違って人材不足のこの世の中じゃ、現地採用ってのもある話で浪人の就職もしやすいわけだ。
事に戦になると、一人でも多くの人材が欲しいから素性もろくに調べずに雇っちゃうってのはままある話。
勿論、足軽クラスのところの話だけど、だからこの階級は間者が潜みやすいってわけね。

 「な、何じゃと……ふ、風魔! 急いで情報を集めて参れ!!」

 その声に、おじいちゃんの近くにいた風魔が音もなく姿を消した。

 ……流石伝説の忍と言われるだけあって目の前にいるのに気配を感じないわ。
佐助も忍としちゃあなかなかなもんだったけど、多分風魔はそれを軽く超えると思う。

 つか、そういう人がいるなら、この程度とっくに情報得てるはずよねぇ?
何で豊臣のことを知らなかったんだろう。何か微妙に引っ掛かるものがあるなぁ……。

 「くぅ〜……何故こうもワシ
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