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竜のもうひとつの瞳
第九章〜行き倒れて小田原城〜
第四十三話
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ですよー……奥州の独眼竜が狙ってるって噂があるのに」

 その通り、門番が正しい。そんな状況で見知らぬ人間を城の中に入れたらどうなることか。
これが間者だったら内部崩壊させられちゃうよ?
っていうか、大した身分でもない門番にそんなこと言われちゃうって……しっかりしなよ、おじいちゃん。

 「何、心配はいらん! こちらには風魔がおるでな!」

 自信を持ってそう言ったおじいちゃんに、私は空腹で行き倒れながらも小さく眉を顰めていた。

 風魔? ……それって、もしかして。

 おじいちゃんに呼ばれて現れたのは、赤い髪が印象的な一人の忍。
この人はおじいちゃん以上に知ってる……っていうか、奥州にいた時も話には聞いてた。

 伝説の忍、風魔小太郎。
雑賀衆みたいに風魔の頭領は代々この名を襲名して活躍しているらしい。
頭領以外に“風魔”の名を冠するのは原則禁止で、風魔と呼ばれているということはこの人がその伝説の忍と考えて間違い無さそうだ。

 なるほど、この風魔がいるから城の中に人を入れても大丈夫だと。
確かに伝説の忍が目を光らせてるのに迂闊に悪さは出来ないわね。
おじいちゃんがすぐに城の中に運べ、と言える自信が分かったような気がするわ。
でも、褒められたことじゃないけど。

 風魔に抱えられて私はさっさと城の中に迎え入れられてしまった。
本当はご飯を少し貰って、何処かに身を潜めるつもりだったから中に入るつもりは全くなかったんだけど、まぁ……いっか。
ご飯が食べられればそれで良いし、後は適当にお礼を述べて城を出て行けばいっか。



 「ふぅ〜、ご馳走様〜。いやぁ、食べた食べた」

 「……よく食べる娘じゃのぉ」

 ドン引きって感じで呆れたようにおじいちゃんが言うのも無理は無い。
私の周りには皿やらおひつやらが山積になっている。
一週間分くらい食ったのではないかと思うほどの私の食欲に、ドン引くのも仕方が無いだろう。
てか、私も見てる立場なら絶対に引くもん。

 念のため言っておくけど、普段はこんなに食べないよ? オーバーヒートした時だけだからねっ!
昔はバイキングとか行くと男顔負けなくらいに食べてたけど、今は一食にご飯三杯で我慢してるんだからっ。

 食べ終わって一寝入りしたい、なんてはしたないことを考えていたところで、おじいちゃんが大きな溜息を零した。

 「これから戦の準備をせねばならんというのに、兵糧が減ってしまったわい」

 おおっと、そいつは申し訳ない。いや、自軍に有利にって考えればこれもアリか。罪悪感はあるけども。

 「戦ですか?」

 わざとらしくなく、素知らぬふりをして聞いてみると、おじいちゃんがまた溜息を零す。

 「奥州の独眼竜が攻めてくると
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