第八話「高町なのは」
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彼のことは知らなかった。その事をボソッと呟くと彼が名乗ろうとしたのでとりあえず部屋に二人を上げる事にした。先程アースラが非常に清潔だといったが...まあこれはリオン部屋が特別なのかもしれないがおそろしく殺風景なのだ。花の入った花瓶一つすらない。あるのは真っ白いシングルベッド一人分と小さいクローゼットと後はこれまた真っ白い机と椅子が四脚あるだけだ。染み一つない事が部屋と言うよりも独房を思わせた。もっとも管理局員の大半がここはリオンの独房だと認識しているだろうが。まあ実態はそんなに違わないので間違ってはいない。監視できないならせめて押し込めようと言う事なのだろう。
二人は座った。少年の名前はユーノ・スクライアと言うらしい。その名前を聞いたリオンはプレシアが言っていたジュエルシードを発掘した一族の名前を思い出していた。その考えに至ってやれやれと思った。どうやらこの一件は自分の知らないところでも複雑に絡まっているらしい。
そこでリオンは不思議に思って思考を中断した。目の前の少女は傍目から見てもわかる位にガチガチに固くなっていた。これじゃあ対話にならないので発言を促す事にした。
「訊きたい事があるなら訊いたらどうだ?」
「え...あ、はい。」
その態度と同じく、声も裏返っていた。その隣でユーノと名乗った少年は吹き出していた。ジトッとした眼でなのはがにらんだのを見るやすぐに止めたが。半ば呆れながらリオンは助け船を出すことにした。
「話しづらいなら普通に話せばいい。僕もやりづらい。」
「え...あ、はい...じゃなくて、うん。ありがとう。」
これには思わずリオンも笑ってしまった。直せと言う風なことを言ったはずなのに途中まではさっき言ったことと全く同じだったのだ。ユーノはユーノで我慢しながら笑っているようで、クックックと怪しげな声を漏らしていた。
「なのは...声、裏返って...しかもさっきまで全く同じ...クク...」
「ユーノ君酷いの!ってああ!リオンさんまで笑ってる!二人とも酷い!」
そう言ってぷうっと頬を膨らませていた。如何にも『怒ってます!』と言った感じに。彼女の意図とは反対に全く怖くなかった。何はともあれ緊張はすっかりほぐれたようだった。
「まあ落ち着いたらどうだ。ほら、椅子を直して。」
そう言って宥めると膨れっ面のままだったが、立ち上がった反動で後ろに押された椅子を直して座った。この時にはリオンは既に読みかけの文庫本があることを忘れていた。
「それで?僕と何を話しに来たんだ、まさか世間話じゃあないだろう?」
リオンのその言葉でようやく、膨れっ面も止めて平静を取り戻したようだった。それに応じてユーノも笑うのを止めて真顔になっていた。
「フェイトちゃんとは何時、どこで知り合った
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