暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
2部 Aincrad:
第1章始節 奇縁のプレリュード  2023/11
1話 薄闇の片隅
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いるんだ?」
「……ヒヒヒ……アンタ、この辺りの人間じゃないね………ヒヒッ……」


 俺の問いかけなんぞお構いなしに、NPC――――声からして男らしい――――はひきつった笑いを零すたびに身体を震わせる。不気味過ぎて仕方がないが、ここは圏内だ。うっかり刃物を突き出されてもダメージを受けることはないだろう。


「……この辺りの、この街の人間はね……フヒヒ……ここを気味悪がるものなのさ……まあ、オイラも余所者だけどよ……余所者の、アンタに、分ぁかるかねぇ………ヒヒヒハハハハハッ!!」


 とうとう何が可笑しいのか勝手に大爆笑を始めてしまった男だが、実はこの問いこそがクエストに至るか否かの分かれ道なのだ。上層の情報提供者であるNPCが言うには、彼は《話の通じない相手》と《話題の共有できない相手》と判断したら、それ以降はこちらが何を言おうとも黙秘を貫いて会話さえ出来なくなるのだという。とりあえずは、昨日の間に収集しておいた情報で話を取り繕う。


「………ここ、夜になると()()()()()()()()()()()んだってな」


 昨日、ラーベルグで聞いた七不思議の一つをかいつまんで話してやる。
 詳細な設定はいろいろ面倒だから省くとして、どうやらこの回答は男のお気に召したらしい。


「……いいねぇ、知ってるねぇ……じゃあ、アンタも、ここが()()のを待ってるクチかい? …………ヒヒッ……」
「いや、アンタに話があっただけだ」
「………あ? ………オイラに?」
「昔、まだアンタが真っ当な剣士だった頃に手に入れようとしていた業物について、話を聞きたい」
「……なんだ、つまらないねぇ……」


 男はどこか寂しそうに肩を落としつつも、一応は説明をしてくれるようだった。
 そして、情報を一通り纏めると、男はついぞその業物の入手が叶わず、この街の北に進んだ先にあるダンジョンの最奥に安置されているのだとか。情報源であるNPCの話を併せて付随するならば、この男はかつて凄腕の剣士であったのだが、友を救うべく亜人の居城に攻め込まねばならない局面にあたり、愛剣では如何とも出来ず、その業物の力を求めたのだという。しかし、結局業物を手に入れるまでに力及ばず、その試練に挫折した男に届いたのは友の訃報と遺品だったのだという。
 そんな救われない話を聞いた後、男にクエストアイコンが発生して受領の是非を問うウインドウが出現する。迷わず《YES》を押下すると、先の笑い声の途絶えた寂しげな声で告げられる。


「……剣なんざ、もう見たかねぇ………それを欲しがってるアンタの馬鹿面もな………とっとと失せなよ………」


 項垂れつつも追い払うように手
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