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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
二の刻・青年期前半
第二十一話「流れ着いた修道院」
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、二人共無事で俺も安心したよ」
「うん、うん。えへへ、お互い様ですね」
リュカの無事を確認してようやく笑顔になったリリス、そんな彼女の頭を優しく撫でてやるリュカ。
そして、そんな二人を穏やかな笑顔で見ながら寄り添うヘンリーとマリア。
そんな彼等を見守る様に、爽やかな海風と柔らかな日差しが部屋の中に流れ込み、注ぎ込んでいた。
―◇◆◇―
それから彼等は畑仕事や海での魚釣り、掃除や壊れた箇所の修繕、親を亡くした子供達と遊んだりと修道院での穏やかな日々を送っていた、今まで奪われ続けていた日常を取り戻すかの様に。
そんな日々の中でセントベレスでの過酷な生活でやせ細っていた彼等の体も徐々に回復していった。
リリスとマリアも女性らしい体を取り戻し、リュカとヘンリーも逞しい体付きに磨きをかけていた。
その様な生活が二ヶ月ほど続いたある日、リュカとヘンリーは遂に決意する。
冒険へと旅立つ事を。
「決意は……、変わらない様ですね」
「すみません、シスター・ラルカ。俺はどうしても行かなけりゃならないんです。母さんを救う為にも」
「それに俺達が戦わなければあの大神殿での地獄がいずれ世界中に広がってしまう。この修道院も何れは…」
皆が寝静まった夜更け、旅支度を済ませた二人はシスター・ラルカへ別れの挨拶をしていた。
「解りました。貴方方二人の瞳に宿っている眩い限りの決意の光、私の説得など及ばない様ですね。しかし、リリスさんとマリアさんの二人は?」
「彼女達を連れて行く事は出来ません。どうか二人の事はお願いします」
「あの二人は俺達同様に苦しみ抜きました。傲慢な考えかもしれませんがこれからはせめて穏やかな日々を送ってもらいたい」
「…きっと怒りますよ」
「ははは、でしょうね」
そう寂しそうに笑うリュカをシスター・ラルカは責める事無く優しげな笑顔で見つめるのであった。
「じゃあ、俺たちはこれで」
「今まで有難うございました。此処でのご恩は決して忘れません」
「まずは此処から北にあるオラクルベリーの町を目指すと宜しいでしょう。貴方方の旅路に神々のご加護を。我等一同、ご無事をお祈りしています」
満天の星空、そしてシスター・ラルカに見送られ、リュカとヘンリーの大いなる旅路は今、始まったのであった。
=冒険の書に記録します=
《次回予告》
遂に始まった新たなる冒険の旅。
親父の無念を晴らし、母さんを救う為に。
だから二人共、平和を取り戻した時にまた会おう。
次回・第二十二話「オラクル屋とブラウニー」
さあ、10年振りの冒険だ!
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