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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
二の刻・青年期前半
第二十一話「流れ着いた修道院」
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ザザ〜ン、ザザ〜ン、
波の音が風と共に潮の香りを運んで来る中、一人の青年が目を覚ました。
「う、うう〜ん。此処は?」
「よう、やっと目を覚ましたかリュカ」
彼が寝かされていたベッドの傍らではヘンリーが本を読んでいた。
どうやらリュカが目覚めるまで看病をしていた様だ。
「ヘンリー?此処は何処だ、俺達は一体…」
「此処はセントベレスから結構離れた岬にある修道院だ。滝からの落下の衝撃で気を失ってる間に此処まで流されて来たらしい」
「リリスとマリアは?」
「安心しろ、二人とも無事だ。むしろ中々目を覚まさないお前の事を心配していたぞ」
「そうか…」
リュカがベッドから起き上がると扉がノックされ、「どうぞ」と言うと一人のシスターが部屋の中に入って来た。
「あら、お友達はお目覚めになられたようですね」
「はい、有難うございます。貴女方の看護のおかげです、シスター・ラルカ」
「ヘンリー、この人が俺達を?」
「ああ、この人がこの修道院の修道長、シスター・ラルカだ」
「そうですか、有難うございます。おかげで助かりました」
「いいのですよ、困った時はお互い様です。聞けば、子供の頃に攫われて10年もの間奴隷として苦しめられたとか。無事に逃げ出せた貴方方がこの場所に辿り着いたのも何かのご縁なのでしょう」
リュカとヘンリーが頭を下げようとするも、シスター・ラルカは手を差し出してそれを押し留める。
「リュカさん、貴方の事はヘンリーさんに聞かせていただきました。どれだけ辛く、哀しい事だったでしょう、私などには推し量る事など出来ません。しかし、今貴方は生きて此処にいます。今まで苦しんだ分、戦いなどを忘れて幸せになる権利が貴方には誰よりもあるのですよ。きっと貴方のお父様もそれを望んでいらっしゃる筈」
「シ、シスター・ラルカ…」
「そうですね、ゆっくりと考えてみます」
「そうなさってください。では、私は仕事が残っていますので」
そう言い残すとシスター・ラルカは部屋を後にし、ヘンリーはバツの悪そうな顔でリュカに語り掛ける。
「あ、あのなリュカ。シスターは悪気があってあんな事を言った訳じゃ…」
「言われなくても分かってるよヘンリー。そんな事で怒ったりなんかしないさ」
「ああ、そうだな」
「さて、これからどうするかだが…」
「「リュカさん!」」
リュカがこれからどうするかと言い掛けると、扉がいきなり開かれて二人の少女、リリスとマリアが部屋の中に飛び込んで来た。
「リリス、マリア」
「よ、良かった。リュカさん、無事で良かった」
「本当に無事で安心しました」
リリスは泣きじゃくりながらリュカに抱きつき、マリアも流れる涙を指で拭き取る。
「心配させたみたいでゴメンね。もう大丈夫だよ
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