第二百四十四話 屋島の合戦その十一
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「だからな」
「はい、ここは」
「まずは猿夜叉殿ですな」
「あの方のお働きですな」
「それを見るのじゃ」
山の方を見ての言葉だ、すると。
実際にだ、長政が率いる軍勢がだった。
山を進みだ、その眼下に魔界衆の闇色の軍勢を見た。それでだった。
長政は己が率いる浅井の紫の騎馬隊にだ、こう告げた。
「ではな」
「あの山をですな」
「一気にですな」
「下り」
「そうして」
「そうじゃ、攻める」
こう言うのだった。
「よいな」
「殿、ですが」
ここでだ、磯野が長政に言って来た。
「周りからです」
「うむ、来ておるな」
「如何致しますか」
磯野は鋭い顔で長政に言う、だが。
ここでだ、その長政に言って来たのだった。
「おっと、ここはな」
「我等に任せてもらおう」
「御主達は」
長政はその声の方を見た、すると。
そこには飛騨者、そして十勇士がいた。その彼等が言って来たのだ。
「ちょっと上様にお願いしてな」
「来た次第さ」
煉獄と猿飛が笑って長政に話す。
「ここにいる敵の忍はな」
「わし等が引き受ける」
「だから猿夜叉殿は行ってくれ」
「そのまま敵のところにな」
「そうしてくれるか」
長政も彼等の言葉を受けて言った。
「正直なところここがじゃ」
「そうですな、攻め時です」
拳が言って来た。
「今こそ眼下にいる敵の軍勢を」
「そうじゃ、ここで忍の者を相手にしてはな」
「その攻め時を逸してしまいまする」
「だからな」
それで、というのだ。
「ここは頼んだ」
「それでは」
こう話してだ、そしてだった。
長政が率いる軍勢は山を一気に駆け下りた、全ての騎兵がそうした。
それを見てだ、魔界衆の忍の者達は苦々しい顔で呟いた。
「くっ、我等を無視してか」
「そのうえで行くのか」
「ならば周りから攻めるのみ」
「高所の軍勢は倒させぬぞ」
こう言ってだ。彼等も向かおうとしたがだ。
その彼等の周りにだった、それぞれ異なった身なりの忍達が出て来て言って来た。
「おっと、ここはな」
「通す訳にはいかん」
「これから始まる戦の邪魔はさせん」
「御主達には残念だろうがな」
「何っ、御主達は」
「飛騨者と十勇士か」
「如何にも」
清海がその大きな口で豪快に笑って答えた。
「我等は真田十勇士」
「そして飛騨者よ」
萌はその清海の左肩に座りつつ言った。大柄な清海の上にこじんまりと座っているのが実にさまになっている。
「言っておくけれど私達一人一人が一騎当千だからね」
「御主達千人がわし等一人ということじゃ」
海野も笑って言う。
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