第3章 リーザス陥落
第82話 義勇兵を求めて
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ユーリの腕の中で啜り泣くミリー。
それは、まるで離れ離れになっていた父親と再会した娘の様……、漸く見つける事が出来た故郷に帰れた時に涙する様……。と、傍から見ればそう言う感想が得られるだろう。
ミリーの表情はユーリの胸の中に埋めている為、見えないが ユーリの表情は見える。
その穏やかな表情は、まるで親が子を想う様な……、そんな慈愛に満ちた表情だったから。……正直な所 ミリーにとってはそれが良かったのか悪かったのかは……言うまでもない事だ。
ただ、この時だけはずっと涙を流し、何も考えられなかったから別に良かった。
そして、落ち着きを取り戻したミリーは、ゆっくりとユーリから身体を離した。まだまだ名残惜しかったけれど、いつまでも邪魔をする訳にはいかない、と何処かで思ったからだ。……解放軍がこのジオの町に来た事は知っている。この戦争で ユーリが戦っている事は ミリーも何処かで理解していた様だから。
その後は、これまでの事を説明していた。
「成る程。武器屋間での寄り合いがあって、それで 離れていたのか。リーザスから」
「はい。……丁度、ジオに来た後に戦争が起きて……」
「ん。それで 動かず ジオに留まった、か」
「……はい」
リーザスには、顔なじみの人も多く、世話になった人も多い。
戦争中故に、そんな状態でリーザスに戻れる筈もなかった。それは十分理解出来た。……だけど、それでも帰りたいと言う想いもミリーは強く持ち合わせていた。リーザスの皆の事もそうだし、……もう会えなくなるかもしれなかったから。
「それで、このお店でお手伝いをしてました……」
「ミリー」
「は、はい……」
ユーリは、ミリーの様々な葛藤を感じたのだろうか、声をかけた。
「……大丈夫だ。オレたちに任せておけ」
「っ……」
ユーリはそう言うと、頷いた。
ミリーの表情は、次第に明るくなっていく。戦争が起きて今日まで 見せる事が出来なかった素顔。ミリー自身も実感している様子だった。
「……やっぱり、ユーリさんも、解放軍に……?」
「ああ。オレだけじゃないがな」
「……はい。ランスさんも、ここにいらっしゃいましたし。虚言癖がランスさんにはありそうなのですが、シィルさんも説明をしてくれましたし……」
ミリーは思い出しながら そう答えていた。
ユーリが来る前に、どうやらランスが来ていた様だ。ユーリはそれを考えていた時……、やや 表情が引きつってくる。
何せ、昨日はホッホ峽でヘルマン軍との一戦。何よりも魔人との接触、戦闘。普段よりも疲労や負傷があったのは事実だった。
勿論、それはユーリだけに限った話ではない。
元カスタム解放軍サイドは勿論、バレス達リ
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