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アインクラッド篇
断章 南十字の追憶
残酷な真実
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「何か………何か手掛かりは無ぇのか………!?」
途方にくれる俺達、気付けば時刻は深夜になっていた。
「早くしないと………!」
ギャアァァァァァ…………
「「!?」」
焦燥に支配されていた俺達の耳に、その叫びは届いた。
「ッ……姉貴!」
「こっちよ!」
二人で走り出す。マップによればこの先は安全地帯だ。
「ヒイィィィ!?止め……ウガアァァァ!!?」
その安全地帯から、断続的に悲鳴が響く。やがて見えてきたのは……地獄絵図だった。
「……何だよ、コレ………。」
地面に転がる男達、皆例外なくダメージを負っていて、何故かそのエフェクトを抑えて踞っている。その中の一人に、フード付きのマントを着た小柄な人影が槍を振り下ろした。
「止めろおぉぉぉ!!」
腰の剣を抜き放ち、間に割って入ろうとするが、一歩遅く、槍は深々と、その男を刺し貫いた。
「ガアァァァァ!!?」
貫かれた男は、苦痛の悲鳴を上げて爆散する。
「………チクショウがあぁぁ!!」
全速で剣を振るうも、難なく受け止められる。そのフードの奥の顔を見て、叫ぶ。
「やっぱりお前だったのか………アマナ!!」
「ウフフフフ。来てしまわれたのですね、お兄様。」
フードを取り払い、こちらに無邪気な視線を向けるのは、間違いようもない、最愛の妹だった。しかし、その口許だけは、記憶にない、獰猛で狂った笑みを浮かべていた。
「心配させないよう、手紙まで置いてきたと言うのに。」
「……あの手紙見て、心配しない方が無理だ。……おい、アンタら、今のうちにさっさと逃げろ。」
後ろの男達に離脱を促す。邪魔は入られたくない。間もなく、転移の音が聞こえ、辺りは俺達兄妹だけになった。
「………何時からだ?」
「何がです?」
「お前を支配するその渇きは、何時からあるんだ。」
「そうですね………もう一月にもなりますか。」
「……そんなに前から………どうしてもっと早く………」
「言っても、どうしようもなかったでしょう?」
「…………ッ、なら……今のお前は…満たされてるのか?その渇きから。」
「…………いいえ、お兄様。あれっぽっちじゃ、ちっとも足りないんです。」
「……あれっぽっち?」
「ええ、相手が強くないと。あの方々程度の実力では、話にもなりません。」
「そうか、…………もうお前は………」
言葉はそこまでしか出なかった。もう、話して伝わるような状態ではなかった。
「その点、お兄様なら合格です。攻略組随一の思考速度を持ってますから。」
静かに剣を構える。もう、覚悟は決めていた。
「アマナ、腕一本は覚悟しろよ……」
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