暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン stardust=songs
アインクラッド篇
断章 南十字の追憶
残酷な真実
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「何か………何か手掛かりは無ぇのか………!?」

途方にくれる俺達、気付けば時刻は深夜になっていた。

「早くしないと………!」



ギャアァァァァァ…………



「「!?」」

焦燥に支配されていた俺達の耳に、その叫びは届いた。

「ッ……姉貴!」

「こっちよ!」

二人で走り出す。マップによればこの先は安全地帯だ。

「ヒイィィィ!?止め……ウガアァァァ!!?」

その安全地帯から、断続的に悲鳴が響く。やがて見えてきたのは……地獄絵図だった。

「……何だよ、コレ………。」

地面に転がる男達、皆例外なくダメージを負っていて、何故かそのエフェクトを抑えて踞っている。その中の一人に、フード付きのマントを着た小柄な人影が槍を振り下ろした。

「止めろおぉぉぉ!!」

腰の剣を抜き放ち、間に割って入ろうとするが、一歩遅く、槍は深々と、その男を刺し貫いた。

「ガアァァァァ!!?」

貫かれた男は、苦痛の悲鳴を上げて爆散する。

「………チクショウがあぁぁ!!」

全速で剣を振るうも、難なく受け止められる。そのフードの奥の顔を見て、叫ぶ。

「やっぱりお前だったのか………アマナ!!」

「ウフフフフ。来てしまわれたのですね、お兄様。」

フードを取り払い、こちらに無邪気な視線を向けるのは、間違いようもない、最愛の妹だった。しかし、その口許だけは、記憶にない、獰猛で狂った笑みを浮かべていた。

「心配させないよう、手紙まで置いてきたと言うのに。」

「……あの手紙見て、心配しない方が無理だ。……おい、アンタら、今のうちにさっさと逃げろ。」

後ろの男達に離脱を促す。邪魔は入られたくない。間もなく、転移の音が聞こえ、辺りは俺達兄妹だけになった。

「………何時からだ?」

「何がです?」

「お前を支配するその渇きは、何時からあるんだ。」

「そうですね………もう一月にもなりますか。」

「……そんなに前から………どうしてもっと早く………」

「言っても、どうしようもなかったでしょう?」

「…………ッ、なら……今のお前は…満たされてるのか?その渇きから。」

「…………いいえ、お兄様。あれっぽっちじゃ、ちっとも足りないんです。」

「……あれっぽっち?」

「ええ、相手が強くないと。あの方々程度の実力では、話にもなりません。」

「そうか、…………もうお前は………」

言葉はそこまでしか出なかった。もう、話して伝わるような状態ではなかった。

「その点、お兄様なら合格です。攻略組随一の思考速度を持ってますから。」

静かに剣を構える。もう、覚悟は決めていた。

「アマナ、腕一本は覚悟しろよ……」

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ