浮遊城の怪盗
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するかのように、徐々にアスナの視界の右上に表示されるHPゲージが減っていくが、それより早くライオトルーパーたちが迫る。確実にしとめようとしているのか、専用武器を剣モードにして接近する。
アスナの細剣では自身を拘束しているサガの鞭を斬ることは出来ず、翼を展開して逃げようにも拘束されて展開出来ない。迫るライオトルーパーにここまでか、と連想するアスナだったが、その次の瞬間には拘束が解除されて自由となっていた。
「――キリトくん!」
弾丸のように吹き飛んできた黒い疾風。それがアスナを拘束していた、サガの鞭を中ほどから切り裂いていた。アスナはこちらに接近していた、ライオトルーパーたちへの防戦に付きっきりになるが、視界の端にキリトがサガへと飛びかかっていくのが見える。
「うぉぉぉぉぉ!」
世界中に響き渡るかのような雄々しい叫びとともに、キリトの使う剣――《聖剣エクスキャリバー》がその姿を見せる。転移門から片時も速度を落とさず飛翔してきた勢いの、SAO時代から愛用してきた《ヴォーパル・ストライク》がサガを襲う。鞭型武器《ジャコーダーを失ったサガにその速度の一撃を防ぐことは出来ず、キリトの最大威力を誇る最上位ソードスキルにて、その身体は粉々に粉砕される。
「アスナ! ……ユイは!?」
サガを粉砕したことへの喜びを感じる暇もなく、キリトは大地にエクスキャリバーを突き刺してスピードを落としつつ、ライオトルーパーと戦うアスナへと問いかける。
「家の中! ……お願い!」
対するアスナもわざわざ何か余計なことを返答することはなく、簡潔にユイを頼むと用件を伝えながら、ライオトルーパーを一体灰へと返した。アスナの目線からすれば、ログハウスへの侵入を許してはいないはずだが、後方から先のサガが現れた時点でその安心はない。
短いやりとりながらも全てを伝えあい、アスナにユイを託されたキリトはログハウスへと蹴破りながら突入する。
「ユイ! ……ユイ!」
元々2、3人で暮らすことが前提のログハウス、そう広くはない。いつになく乱雑に家を開け、リビングを訪れると――そこには。
「やあ。遅かったね」
「海東……!」
気絶したように目を閉じていたユイを抱えた海東の姿に、キリトは怒りのままに斬りかかろうとするのを、すんでのところで何とか抑える。人質がいるようなその状況に手出しは出来ないが、先程のように灰色のオーロラで逃げようとすれば、その瞬間に海東だけ切り裂く自信がキリトにはあった。
「…………」
少しでも動けば斬ると言わんばかりのその殺気を、海東もその歴戦の経験から鋭敏に感じとったのか、迂闊に動くことは出来ずにいた。どちらも動けないでいた、永遠にも感じられそうなその時間を先に動いたの
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