浮遊城の怪盗
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――ユイが危ない。
「間に合ってくれ……!」
そう直感したキリトは手早くNPCレストランから飛び立つと、まずはその層にある転移門――ユイがいる筈のプレイヤーホームへと飛び立った。
「さて、と……」
新生アインクラッド第二十二層。かつてのその場所がそうだったかのように、どこか懐かしさを感じさせるログハウスが鎮座しており、そこがキリトたちのプレイヤーホームだった。
「うーん、いい風だ」
そのログハウスの屋根の上。気持ちよく風が吹くその場所には、既に海東が座っていた。キリトも超スピードでこちらに戻ってきてはいるが、海東のその移動スピードは超スピードなどという問題ではなく、この世界には一部例外を除いて存在しない瞬間移動に等しく。
「でも風は持って帰れない」
どんなに気持ちがいい風でも、それはお宝として海東の物とすることは出来ない。だから彼は形のあるモノを狙う――と、腰に提げていた大口径の銃《ディエンドライバー》を取り出し、三枚ほどカードをその銃の側面に挿入していく。
『KAMEN RIDE RIOTROOPER』
「さあ、出番だよ兵隊さんたち。きびきびと働きたまえ」
「パパにメール、打てましたか?」
「うん。すぐ帰ってくるって」
ログハウスの中、アスナとユイがケーキを前にして、キリトの帰りを待っていた。無数のクエストが存在するこのALOには、食材を調達するようなクエストももちろん存在し、そこで手に入れた食材でアスナが作り上げたケーキだった。無論材料は、キリトがたまに焼いて食べているような、ゲテモノなモンスターの肉ではないまともな物で。
「ユイちゃんも手伝ってくれたし、早く食べたいわね」
「はい!」
このALOで普段なっている小さな妖精の姿ではなく、かつてSAOで会った等身大の姿のユイは喜んで頷いた。アスナがそんな娘の姿に自然と笑顔になっていると、家の向こうに足音を感じた。
「……ママ?」
「シッ」
何も感じていないらしいユイを静かにさせると、アスナは家の外にいるらしい存在に対して、久方ぶりに気を研ぎ澄ませる。最初はキリトが帰ってきたのかと思ったが、聞いていた場所から帰ってくるのがあまりにも速すぎる。その上、家の外から聞こえてくる音は重装備の複数人と、明らかにキリト以外の友人たちでもない。
とはいえここは浮遊城における《圏外》。モンスターが現れる場所ではなく、プレイヤーならばユイのナビゲーションが存在に気づくはずが、当のユイは何がなんだか分からず首を傾げている。アスナが何者か分からない闖入者に警戒していると、ソレはゆっくりとログハウスの扉を開けた。
『――――』
「えっ……?」
扉を開けてそ
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