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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
二の刻・青年期前半
第二十話「暗闇の中から、希望への脱走」
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あまり時間はかからなかった。
父と母は教団員として、ヨシュアは兵士としての生活が始まった。
初めは教団が奴隷と連れ去られて来る人々の事も教団の教えを理解しない愚かな連中と見て来たが、やがて次第にその事に違和感を覚える様になって来た。
その違和感は徐々に不信感へと変わって行き、そして数日前に奴隷の中にリリスとマリアを見つけた事で遂にヨシュアは漸く教団の正体に気が付いた。
何とか二人だけでも逃がそうと画策している時に今日の事件が起きた。
そう、彼にとってこの事態は不幸中の幸いでもあったのだ。
二人を無事に此処から逃がす為にも。
「其処の二人、確かリュカとヘンリーだったな。頼む、リリス達を連れて逃げてくれ」
「逃げろって言われてもだな」
「確かに二人を連れて逃げる方法は考えていたけど、どうやって?」
「この先に死んだ奴隷達の死体を捨てる場所がある。其処からなら逃げ出せる筈だ、付いて来てくれ。リリス達も一緒に」
ヨシュアはそう言うと牢の鍵を開けて歩き出す。
リュカとヘンリーは流石にいぶかしがるが二人が素直に牢を出るとお互いの顔を見合って頷き、先に歩き出している彼女達の後を追う。
ヨシュアの後を追って辿り着いた先には水路があり、其処には幾つもの樽が備え付けられ、水が流れる先は外へと向かっている。
「此処で奴隷達の死体を樽に入れて水路から外へと流すんだ。逃げ場所は此処からしかない、樽の中に少しばかりのゴールドとお前達から奪っていた持ち物を入れておいた。さあ、早く行け!」
「兄さんはどうするの?」
「俺は逃げない、兵士や教団員の中にも奴等の正体に気付いている者は居る筈だ。そんな連中を集めて内側から闘ってやるさ。…せめてもの罪滅ぼしにな」
ヨシュアはそう言って笑うと二人の背中を押して樽へと乗せる。
樽は小さい為、リュカはリリスと、ヘンリーはマリアと、其々別の樽に乗り込んだ。
「奴等の手先となっていた俺が言う事では無いのだろうが……、二人を…頼む」
「任せとけ!というか…、本当に一緒に行かなくていいのか?」
「ああ。どの道、水路を開くスイッチは俺が入れなければならないからな。お前達は俺が殺した事にしておく、後の事は心配するな。じゃあ蓋を閉めるぞ」
「「ヨシュア兄さん…」」
「二人共、今まで苦しんだ分幸せになれ。出来る事なら此処での事や俺の事も忘れてしまえ。…じゃあな」
樽の蓋が閉められるとガクンッと樽が震え、流され始めたのが解る。
そして徐々に速度を増し、やがてドドドドドと轟音が聞こえ出すと樽は物凄い速度で落下を始めた。
水路は滝へと繋がっていて落ち始めた様だ。
「うわあああっ!だ、大丈夫なんだろうなこの樽は?」
激しい振動の中、リュカはリリスを抱きしめてそう叫ぶ。
するとリリス
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