第2章:埋もれし過去の産物
第29話「秘められし過去」
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さか、負の感情が漏れ出ているのか...!?)」
黒い靄の正体がそうだとしたら、相当やばいな...。
「(けど、結局は魔力の塊に他ならない。なら、魔力を纏わせれば切り裂く事は可能だな。)」
解析魔法をかけた結果、靄からは強い...というか、ドロッとした感覚の魔力が感じ取れた。つまり、概念とかそんな感じじゃないって訳だ。
「“ドルヒボーレンベシースング”!」
―――バシュゥッ!!
「...なるほど。」
砲撃魔法を離れた所から放つが、靄によって阻まれる。
「(今の所自己防衛でした靄は動いていない。...攻めるなら...今っ!!)」
少し間合いを離して攻撃を受けないようにしていたが、一気に間合いを詰める!
「いやっ!!」
「っ、リヒト!」
〈“Aufblitzen”〉
振るわれた靄を一閃し、切り裂く。
「(よし!通じる!)...って、うわっと!」
しかし、切り裂いても際限なく靄は迫ってくる。
それをなんとか回避し続けるも、数が多すぎる....!
『お兄ちゃん!』
「『大丈夫だ!』」
緋雪の心配する声が聞こえてくる。
大丈夫だと答えたけどこれは.....。
「....まさか、取り囲むとはね....。」
「...お願い、ボクを、ほっといて....!」
「それなら、取り囲むのやめてほしいんだけどね....。」
黒い靄は僕と聖司の闇の欠片を包み込むように広がっていた。
おそらく、緋雪から見れば僕は取り込まれたように見えるのだろう。
「ボクなんかと関わったらまた....!」
「....そうは言ってるけどさ、本当は助けてほしいんだろ?」
「っ.....!」
自分を卑下して、何もかも自分が悪いように言っているけど、本当は違う。
「助けてほしい、救ってほしい、安心させてほしい。...本当はそれを願っているんだろ?」
「っ....違うっ!!そんなの、ボクなんかが求める資格なんてないっ!!」
言葉に出ていなくても、雰囲気やそこら辺で分かる。
....本当は、幸せになりたいんだ。でも、前世の最期が赦してくれなかった。
僕は知っている。聖司が死ぬ時、どんな気持ちだったのか。
どんな家庭環境だったのか、聖司がどんなに追い詰められていたのか....。
僕が聖司を助けられなかったあの悔しさと共に、僕は知ったんだ。
「......そう、か......っ!」
取り囲んでいた靄が一斉に僕に襲い掛かる。
....これ以上、問答を続けても意味はないようだな。
「なら、楽にしてやる....!
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