第12話 元旦の来訪者
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会ってきたボーカロイドたちには少なくともそれはあった。だからこそ巡音ルカに対して感じる恐怖とも違和感ともとれるそれは生まれたのだ。
大津「ほな、自己紹介を終えたところで本題に入ろか。」
大輝「本題?」
今までのラフな雰囲気は一転して、張り詰めた緊張が周りを包み込む。
大津はかなり怪しい男だった。身なりもお世辞にも綺麗とは言えなかったし、ずっとヘラヘラしていたからだ。だが、先ほど周りを制した緊張によって大津の怪しさは一瞬にして何処かへ消し飛んでしまった。
大津「わいら《アンドロイド研究所》は今、各地に散らばっている《ボーカロイドアンドロイド》を回収しているんや。」
大津「理由の方は勘弁な。」
大輝「つまり、ミクの回収にやって来た…という訳ですか。」
大津「ピンポーン、正解??」
大津「ほんまあんちゃんは物分り良くて助かるわ。」
大津「わいがこれまで会ってきた中には1日中説明せんとわからん奴とかおったからなぁ。」
大輝「…質問してもいいですか?」
大津「ええで。」
大輝「もし…貴方達にミクを預けたとしてミクはどうなるんですか?」
大津「…それは答えられん。トップシークレットや。」
大津「やけど考えてみ。あんちゃんの所にいて、果たしてこのままそのアンドロイドを上手に扱えるか?」
大津「わいらなら少なくとも、世界平和になら貢献できるんやけどな。」
大輝「…」
大津「安心せい。スクラップとかには絶対にせーへんから。」
大輝「…」
大津「…な?ええやろ?」
…俺は少し考えた。奴らの言うことが本当なら奴らにミクは預けるべきだろう。だが、引っかかることがある。いや、これは確信である。恐らく疑いようのない事実。ならば…
大輝「…本当に身勝手なんですけど。」
大輝「お断りします。」
大輝「貴方の言い回しからだとどうしてもミクを《人間の為の道具》にしか見ていないようにとれる。俺はそんな人の元にミクを預けたくはないんです。」
言いながら大津の顔や態度が変わっていくのがわかった。…大津の怒りが徐々に膨れ上がることが。
大津「あんちゃんならわかると思っとんたやけど無駄か。」
大津「ならあんたは邪魔や。力尽くで奪わせてもらう??」
大津は静かに、冷淡に言い放った。
そして、大津と俺のやり取りを無言で、無表情で聞いていた巡音ルカの背中を静かに叩いた。
次の瞬間には巡音ルカの回し蹴りが俺の腹に炸裂した。人間技ではない。そう断言できる程の速度だった。俺は咄嗟にガードしたが、あまりのパワーに両腕を木っ端微塵に粉砕されて10メートル以上も吹き飛ぶ。家のドアに衝突したが、そのドアを突き破って廊下のクローゼットに頭から突っ込んだ。俺はそのまま意識を失った。
ーレン視点ー
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