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チマチョゴリ
第四章

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「そういえばあのおばさん他の服着ないな」
「ピンクのな」
「あそこの制服か?」
「そんな感じか?」
「それで服は統一か」
 そのチマチョゴリでだ。
「他には思いつかなかったのか」
「いや、他の作品じゃ色々着せてみてるんだよ」
「どんな服だよ」
「日本の女子高生の制服とかAKBとかメイドとかな」
「全然似合わないだろ」
「それでニコニコで爆笑の書き込みで画面埋まったよ」
 そうなったというのだ。
「猫耳とかやってみたぜ」
「それ後で観ていいか?」
「ああ、観てくれたら俺も嬉しいぜ」
「そうするな、しかしな」
「しかし。何だよ」
「チマチョゴリも目立つがな」
 高津は赤に派手なきらきらまで入れたチマチョゴリを着て絶叫しているおばさんを観つつ古田にこう言った。
「このおばさん自体がな」
「キャラ立ってるだろ」
「かなりな」
「ああ、それでネタにしてるんだよ」
「そういうことか」
「今日も新作作るぜ」
 おばさんを使ってというのだ。
「頑張ってな」
「これ北朝鮮の人に送ってみたいか?」
「どんなj反応するだろうな」
 これが古田の返事だった、にやりとして。
「楽しみだな」
「怒るかもな」
 今度は真っ黒のチマチョゴリで後ろがハーケンクロイツになっている。
「これは」
「怒るか」
「無茶苦茶ネタにしてるからな」
「ネタにされるって芸人として光栄だろ」
「いや、おばさんも将軍様も芸人じゃないからな」
 そこは断った高津だった。
「しかも冗談通じないからな」
「怒るか」
「やっぱり御前北朝鮮だと家族ごと公開処刑だな」
「日本にいてこそか」
「ネタに出来るんだよ」
 まさにというのだ、高津は最後は将軍様の写真をバックにピンクのチマチョゴリに戻ったおばさんを観た、そのうえで古田に言ったことは。
「それでこのおばさんの名前知ってるか?」
「そういえば何ていうんだ?」
 これが古田の返事だった。
「下手な女優よりテレビに出てるけれどな」
「それは知らないんだな」
「絶叫とチマチョゴリだけインパクトに残ってな」
「それでか」
「ああ、どうもな」
 名前は知らない古田だった、だがさらにネタにすることは決めている彼だった。ピンクのチマチョゴリのおばさんを。


チマチョゴリ   完


                     2016・2・26
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