第六章
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「そうした決まりだから」
「それは僕も知ってるよ」
「そうでしょ、これはね」
「ここの風習だよね」
「ミーニョのね」
「恋人にはハンカチをプレゼント」
「そう、それがね」
ファナも言う。
「刺繍をしたハンカチを贈る」
「恋人のハンカチーフ」
「二枚あるわよ」
「あれっ、僕一枚しか」
ジュゼッペはそのことを言った。
「買ってないけれど」
「あと一枚はあれよ」
「そうなんだ」
「あげるわ、仲直りにね」
「うわ、奇麗な刺繍だね」
ファナがくれたハンカチは白地でそこに様々な色の薔薇が刺繍されていた、かなり奇麗な刺繍で飾られている。
「この刺繍は」
「私がしたのよ」
「ファナが自分で」
「私も悪かったしね」
顔を赤くさせてだ、ファナは喧嘩の時のことを話した。
「だから仲直りにはって思って」
「自分で刺繍して」
「そう、ジュゼッペにあげようって思ってたから」
「実際に刺繍したのをなんだね」
「貴方にあげるわ」
「有り難う」
「それは私の言葉よ」
二人で微笑んで言い合った、そして。
ファナの母がだ、二人に笑顔で言った。
「今から御飯食べる?」
「僕もですか」
「今日はお父さん遅いけれど」
それでもというのだ。
「沢山作ったからね」
「一緒にですか」
「仲直りしたらね」
それならというのだ。
「後は一緒に食べてもっと仲良くならないと駄目だから」
「じゃあ」
「三人で食べましょう」
「わかりました」
「じゃあ御飯の用意をして」
ミンホタを着たままだ、ファナも母親の言葉に微笑んで応えた。
「三人で食べましょう」
「それじゃあね」
こうしてだった、三人でだった。
夕食を食べて仲直りの後でさらに親睦を深めた。その次の日に。
ジュゼッペは学校でロベルトに昨日のことを笑顔で話した、すると。
ロベルトは彼にだ、冷めた目で言った。
「そうか、よかったな」
「またしても素っ気ない返事だね」
「俺はそっちの話にも興味ないからな」
「仲直りにも」
「よかったとは思うけれどな」
それでもというのだ。
「自分の恋愛話以外はな」
「どうでもいいんだ」
「まあミンホタとかハンドクラフトの話はな」
「ここの話でね」
「ポルトガルのな」
「それはわかったよ」
「それはよかったな、そして俺が興味があるのは」
それは何かもだ、ロベルトはジュゼッペに言った。
「御前が昨日ファナさんとファナさんのお母さんと何食ったかだよ」
「豚肉をお野菜と一緒に煮込んだのに蛸に鰯にな」
「ここの料理だな」
「そう、それをお腹一杯食べたよ」
「ワインも飲んだか」
「赤をね」
「そっちに興味はあるけれどな」
こうジュゼッペに言うのだった。
「詳しく聞かせて
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