1 男の日常
ピピピピ−ピピピピ−
時刻は午前5時。いつもと変わらぬ目覚ましの音が広い寝室に響き渡る。僕は素早く目覚ましを止めると洗面所へ向かい顔を洗う。昨日ベットに潜ったのは午前3時、すなわち2時間しか寝ていないが眠気は全くない。恐らく常人なら過労で倒れるだろうがそんなことは全くない。僕は常人じゃないからだ。
2016年の11月、僕はこの世界に産まれた。心身共に健康で順調に育っていった。だが、小学生になって僕は周りと違うことを自覚した。僕は勉強というものを全くしなかった。いや、する必要がなかった。───僕は俗に言う天才だった。周りの人間がどんなに勉強しても僕に追いつくことは出来なかった。それに、僕は運動神経も抜群に良かった。とにかく僕はあらゆる事で人より優れていたのである。学生のころクラスメイトに付けられたあだ名は「完璧人間」だった。
洗面所で顔を洗った後リビングへ降りるといつも通り朝食が用意されていて、執事のソーが待っていた。
「おはようございます。ゼロ様。」──そうだ。いい忘れていたが僕の名前はゼロ。今や世界でこの名前を知らない人間はほとんど居ないだろう。
「ああ、おはよう。」
僕は適当に挨拶を返すとイスに腰掛け、朝食を取り始める。それと同時にソーが1日のスケジュールを読み始める。僕のスケジュールは分刻み、忙しい時は秒刻みになることもある。その予定の7割方は会社のこと。残りは会食やパーティーの類いがほとんどだ。
素早く朝食を取り終えると仕事の準備を始める。食事は専属の一流シェフが作ったものだかゆっくり味わっている暇はない。僕は手早く準備を終えた後ソーの運転で会社へと向かった。
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