第五章
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「それよね」
「うん、この袋がね」
「私へのプレゼントね」
「貰ってくれるかな」
「何かしら」
「服だよ」
「服!?」
ファナはジュゼッペに問い返した。
「それを買ってくれたの」
「一式ね」
「そうなの、じゃあ」
「ちょっと今から着てくれるかな」
「いいわよ」
すぐにだ、ファナはまだむっとしたものは残っているがその顔で答えた。
「それじゃあね」
「じゃあ」
「私も仲直りのプレゼントあるから」
ファナの方も言った。
「お家の中に入ってくれる?」
「いいんだね」
「もう何度も入ってるでしょ」
これはお互いの家にだ、それだけ深い付き合いなのだ。
「今更でしょ」
「じゃあ」
「ええ、入って」
手を取ってはいないが言葉で導き入れた。
「そうしてね」
「それじゃあ」
こうしてだった、ジュゼッペはファナにその袋を渡してから彼女の家に入った。そしてそのうえでだった。
家の中で彼女の母親と話をしながら彼女が着替えるのを待った、そのうえで。
暫くしてだ、ファナが戻ってきたがその彼女を見てだ。母は笑顔で言った。
「あら、いいじゃない」
「そんなに?」
「ええ、とてもね」
見ればだ、ファナは。
白で袖と襟のところは可愛く赤い糸で刺繍されているブラウスを着ていてその上に前で紐で縛る小さめの紅のベストを着用している。
赤と黒の縦縞模様、端のところは黒の膝を隠した長さのひらりとしたスカートにだった。様々な赤や黄色、オレンジを飾ったエプロンを着ている。
足は白いタイツで覆われ靴は黒いものだ。髪の毛は後ろで上げてまとめており頭に赤地で花柄のあるs布を被っている。
その服になってだ、ファナは言った。
「ミンホタね」
「知ってるんだ」
「知ってるも何も」
それこそという返事だった。
「これここの民族衣装じゃない」
「ミーニョの」
「そうよ、可愛いので評判なのよ」
「そうだったんだ」
「そうだったって知らなかったの?」
「ポルトガルのことは最近になってだから」
勉強しだしたというのだ。
「ミーニョのこともね」
「あんたいい加減なところあるしね」
「いい加減は余計だよ、けれどね」
「この服のことは知らなかったのね」
「いい服だね」
「ええ、有り難う」
微笑んでだ、ファナはジュゼッペにお礼を述べた。
「大切に着させてもらうわね」
「そうしてくれるんだ」
「これからもね」
「そうしてくれたら嬉しいよ」
「あとね」
ファナの言葉はまだ続いていた、今度は。
大判のハンカチ、やはり赤地で花柄のそれをミンホタのポケットから出してだ、ジュゼッペに差し出した。そのうえでこう言った。
「あんたが買ってくれたのだけれど」
「ああ、それをなんだ」
「あげ
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