第62話 監獄
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一瞬だけエックスに目を遣るが、すぐにネージュに視線を戻した。
「クラフト!!」
「ネージュ…君はあの時から変わらないな、自分がやると決めた事はどんなに危険でもやり抜こうとする」
過去のネージュの行動を思い出しながら呟くクラフトにネージュも過去のクラフトのあり方を思い出しながら口を開く。
「あなたは変わってしまったけどね、あなたは自分の考えで人間のために戦っていたのに…今はバイルの言いなりなのね」
「君は何も分かっていない。バイルはこのラグナロク作戦で、外界で暮らす人間達ごと全ての自然を破壊するつもりだ。だから…外界へ逃げた君を探すために俺はこの作戦に加わった。ネージュ…君という人間を守るためにだ。君だけじゃない、ネオ・アルカディア跡地に残っている人間やレプリロイド…俺達が生きていくためには僅かなエネルギーや居場所を守るしかない、例えそれが…バイルのような奴の支配の元でも……」
必死にネージュを説得しようとするクラフト。
例えバイルの圧政を強いられようと、今の人間とレプリロイドにはそれしか生きる道はない。
クラフトの行動は全て、納得出来ないことはあってもネージュを…自分が守りたいものを守るためだった。
「だから…バイルに従うというの?自分達が生き残るために、他の人々の自由や僅かな自然を奪おうというの?…それがずっと人間のために戦い続けて来た、あなたの目指した正義だというの…?」
「………」
ネージュの言葉に無言になるクラフト。
クラフトの言葉は当然のことながらネージュには理解してもらえなかった。
答えられないのは、心のどこかでネージュの言うことが正しいと感じているからか、自分の考えをネージュに理解してもらえなかったからか。
「クーックックックッ…お前達人間が正義を語るのかね?百年前に儂をネオ・アルカディアから追放し…イレギュラーとしてレプリロイドを処分してきたお前達が…人間如きが今更正義を語ろうと言うのか!?笑わせるのぉ!!」
「この凄く頭に来るような陰湿な声は…!」
「あなたか…Dr.バイル!!」
エックスが叫んだ直後にバイルが姿を現した。
「クーックック…本当に笑わせてくれるわい…ネオ・アルカディアの元統治者としてそうは思わんかのぉ!?エックス!!」
バイルがエックスに向かって叫ぶとネージュとクラフトの視線がエックスに向けられる。
「エックス様…!?」
「やはりあなたがエックス様だったのか…!」
この部屋に入った時にクラフトはエックスを見て、違和感を感じたが、どうやら本当にエックスだったようだ。
「クックックックッ…大活躍じゃあないかゼロ、ルイン、エックス…残る部隊は後四つ…だが貴様らにラグナロク作戦を止める事は出来ん。
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