第五話。異界の迷い家
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握り返してくれる。
「そして多分、心の中では理亜さんは……お兄さんに助けて欲しい、楽にして欲しいと願っている気がします」
「え? 理亜が……俺に?」
「はい。これは女の子だから解るというのもありますが。それとは別に、疾風さんの近くにある二つの『夢』の気配は……とても弱くて、もがいてるような。悪夢を見ている気配がするんです」
俺の近くにある『夢の気配』……ということは、俺の家辺りという意味か。
一つは理亜の夢としても、二つというのは気になる。
そして、それが本当なら理亜が見ている夢は……悪夢ということになる。
「なんとかしてやれないかな。悪夢を消してやるだけでもいいんだけど」
「これを教えたら貴方ならそう言うと思っていました。今の疾風さんは『百物語の主人公』の力を使って、私が誘導すれば夢の中に入ることも出来ます。もしかしたら夢の内容次第では中に入ったら戻って来れなくなるかもしれませんが、『煤xの力を使えば夢自体を消し去ることも可能ですので、その心配もありません」
「そっか。それなら大丈夫そうだね。
万が一、俺が起きなかったら、みんなで叩き起こしに来てくれるかな?」
「ふふっ、音央ちゃんや一之江さん辺りは率先して酷い起こし方を実行しそうです」
鳴央ちゃんのその言葉に、もし起きなかったら……を想像してしまう。
ブルリ。
背中に寒気を感じた。
彼女達なら本当に容赦ない方法を試しそうだ。
俺は気を紛らせる為、もう一度鳴央ちゃんの手を握る。
鳴央ちゃんも握り返してくれた。
「それはおっかないから極力自分で起きるよ」
「はい。お待ちしておりますね」
鳴央ちゃんの手が俺を覆う。世界が暗闇に包まれる中、俺は______青くて、冷たい『夢の気配』を近くに感じる。ああ、そうか。
これが『理亜』の夢なのか。
そう思った俺は、意を決すると。
その夢に向けて意識を集中させた______。
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