第十八話 王子の目
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「ああ、フランシーヌ。杖はこの部屋でいいのかい?」
「その……平気……なんですか?」
「平気? ん〜……ああ、人殺して平気って意味か。そうだね……」
マクシミリアンは少し考える素振りをした。
「相手の脳をえぐった感触は、まだ手に残っているよ。平気かって言われれば、そうだね……平気じゃない……かな」
マクシミリアンは震える右手を押さえつけながら答えると、フランシーヌの後ろから抱きしめられた。
「ちょっと、なにしてんの?」
「殿下、泣いています」
「え?」
マクシミリアンは、自分の頬を撫でると確かに涙が流れていた。
「あれ? 何で涙が?」
涙と供に次第に痛みがぶり返してきて、目を開けることが出来なくなってしまった。
「お優しい殿下の御手を血で汚してしまうなんて……なんと、お詫びしたらよいか」
「いやいや、別に悲しいから泣いてるんじゃないから! 目にゴミが入っただけだから!」
マクシミリアンは、この涙と痛みは破壊光線の副作用だろうと、結論付けた。
幸い、先の大立ち回りのとき、最後に放った破壊光線はフランシーヌには見えてなかったようだが、だからと言って『破壊光線のせいです』……とは言えない。
「それよりも、ヒーリングは使えるかな? 使えたら、僕の目にかけて欲しいんだ」
誤魔化しながら、フランシーヌに頼み込んだが……
「申し訳ございませんが、ヒーリング用の秘薬がありません」
「あら、それじゃいいや。時間が経てば治るからさ」
「差し出がましいかと思われますが……」
妙に艶っぽく笑ったフランシーヌは、マクシミリアンの正面に立ち……
「じっとしていて下さいね……」
マクシミリアンの、頭を固定して、目をぺろりと舐めた!
「な、なにすんの!?」
「目にゴミが入ったと仰ったので私の舌で清めようと……」
フランシーヌのやわらかい舌が目蓋の中へと進入して眼球を撫でた。
「おおう。こ、これは……」
マクシミリアンは、未知の感触に悶えてしまった。
痛いかと思ったが痛くない。むしろ、マッサージみたいで気持ちいい。
時間にすると10分程度、フランシーヌの舌はマクシミリアンの両眼を優しく洗い清めた。
どういう訳か、痛みと涙はピタリと止まり、違和感も無くなった。
「……ックン。ご馳走様でした」
マクシミリアンの涙は舐め取ったフランシーヌは満足そうに淫靡に微笑んだ。
「あ、ありがとうフランシーヌ」
「どうしたしまして、殿下のお役に立てて嬉しいです」
「でも……なんだ。嫁入り前の若い娘が、こういった事するのは、いかがなものかと」
「殿下がお困りのようでしたので
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