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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第8話 ナンパ
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ソリが髪を逆立てた不良男をクッションにして両足で着地し身体を揺らしながらゆっくりと立ち上がる。
「よっと……さて、はあー、完璧に壊れたかな」
気絶して鼻血をダラダラと流している男を足蹴にすると興味対象である警備ロボットを手にして状況を確認する。
所々へこんでいるやら、ネジが飛び出ているやらで良いところを探すのが困難なほどだ。
「中身を開けて、重要そうな部品だけでも抜いておくか」
音が流れたから人が集まってくるだろう。
じっくり見ているわけにはいかない。
急いで蓋を開けようと力を込めるが、ねじ曲がった蓋はそう簡単には開かない。
サソリは様々な向きに力を込めて、捩じっていき徐々に開けていこうと悪戦苦闘していると
「あ、あの……」
先ほどナンパされていた女性が声を震わせながら精一杯の勇気を振り絞って声を掛けた。
「ん?」
とサソリが真後ろに首だけ回して、音源の出どころを探すと、
……クセッ毛の強い女性が顔を真っ赤にしてサソリを見ている。
サソリはその視線に気づくと、驚いたように女性から遠ざかるように飛び上がった。
「げ!?」
「あの……その……ありが」
と女性が出し切ったはずの勇気を再び絞り出して、お礼を言おうとするが、サソリはジワジワと距離を取っていき……
「じゃ、じゃあな」
そう言い残し、女性から脱兎の如く離れていった。

少女は「あ、あの……その」呟いてみるが赤い髪の少年は名前を告げずに去っていく。
女性の脳裏には小さいときに好きで読んでいた絵本を思い出していた。
姫様がピンチに陥った時にいつも助けに来てくれる白馬に乗った王子様の姿。
剣を片手に茨やモンスターを倒して姫を助けにきてくれる。
いつも口数は少なく、クールに物事を対処していく王子様。
姫様を悪い魔女の手から救ってくれる王子様に幼いながらも淡い恋心と憧れを持っていた。
そんなイメージと赤い髪の少年が重なる。
「王子様……」
少女は胸に手を当てて、少年が去っていた方向をしばらくの間見つめていた。
私が困っているのを知ってロボットを落として助けてくれた。
そして名前も告げずに去っていく。
全てが女性の思い描いた王子様へと繋がる。
白馬にも乗っていないし、白というよりは黒い服を着ていたが関係なかった。
女生徒は恐怖で彩られていた鼓動は別の想いで一層強く拍動するのが分かり、顔に熱がたまっていく。
「……誰なんだろう?」

さて、路地裏から走り去っていくサソリは、時折後方を確認する。
「しまった。物陰にいやがったか……見られたな」
おせじにも王子様とは呼べないことを頭の中で展開していく。
バレたか!?
あのロボットを盗んでいることか?
それとも実験体のオレが自由に動いているのが分かったか?
「くそ!自立式の傀儡を置いてきちま
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