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八神家の養父切嗣
二十五話:観戦
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上は過小評価をするべきではない。
 冷徹に分析を行い、確実に仕留められる算段をつけておくべきだ。
 そう判断を下して切嗣は口を開く。

「詳しい情報を得られない以上は正確な判断はできないが、彼女は才能があるだろう」
「なるほど、それは素晴らしいことだ。それで理由はどうなんだい?」
「思い切りの良さと、修正能力の高さ、それと的確な判断をすぐに導き出せる点だな」

 敵に対して怖気づくことなく向かい、新しいデバイスの扱いもあっという間に慣れる。
 戦闘技術が高い魔導士は数多くいるが全員が才能のある者ばかりではない。
 何度も繰り返し任務に出ることで覚悟やアクシデントへの対処の仕方を覚えていく。
 しかし、ティアナに関してはすでにその部分の能力が高い。
 魔力量や肉体的な才能は乏しいティアナであるが、彼女の真骨頂はその頭脳と精神性である。
 
 本人は才能がないと悩んではいるがそれは若さゆえに外面的な強さに注視しすぎるからである。
 戦闘の強さなどAAAランクの魔法少女を二人纏めて相手にして圧勝するAAランクの老人も存在するぐらいであるので、工夫さえすればどうにでもなる。
 本当に身につけるのに苦労するのは寧ろティアナが持っている能力の方である。

「では、戦うとしたら君はてこずるかい?」
「まさか。現段階の強さで単独での戦いなら負けようがない。そもそも、僕が相手をするのなら戦いに入る前に殺しているよ」
「くくく、それもそうだね。君が負けるはずもないか。なんといっても君は正義の味方(・・・・・)だからね」

 その言葉に憎悪の籠った瞳を向ける切嗣だがスカリエッティは笑うばかりである。
 この男はどこまでも人の精神を逆撫でするようなことしか言わない。
 それでいて本人以外には賛辞に聞こえるように言うのだから始末に負えない。
 契約がなければ今すぐにでも撃ち殺ししてしまいたい。
 それがスカリエッティに会ってからの切嗣の素直な心情である。

「おや? 話しているうちに面白い事になってきたようだ」

 スカリエッティの言葉につられてモニターに目を戻すとそこにはガジェットの腕に無様に放り投げられ、宙を落下していくエリオの姿が映っていた。
 そして、その様子を見て、何もできずに声を上げるキャロの姿も。

「あれは……ガジェットの新型とエリオ・モンディアルか」
「その通り。プロジェクトFの残滓の一部だ。ここで死ぬとすれば惜しいが、それも運命かな」

 自らが生み出した技術の生き残りに対しての興味はあるもののそれも価値があればの話である。
 力なく死んでいくのであればそれを止めることはしない。
 生命とは弱肉強食という絶対の掟からは逃れられないのであるから。
 しかし、それに反する願いを抱く者を見る
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