34:笑わせないで
[1/17]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「うそ……こんなの、嘘よ……」
マーブルは地に膝をついたまま、目の当たりの光景に僅か首を左右に振りながら言った。
そんな彼女を、死神――ユミルは、なんの感情も込めずに見下ろした。
「嘘じゃないよ。ボクのカーソルの色、見て分からない……?」
それは、奇しくも彼の不気味なステータス上昇エフェクトと似た、禍々しいオレンジ色。
「じゃあ……ユニコーンを独占しようとしてるのも、これまでたくさんの人を襲ったのも……」
「ボクだよ」
彼は即答した。なんの悪びれも無ければ、なんの誇張すらもない、ただの無味乾燥な肯定。
「……それより、マーブル……さっき、面白い事を言ってたよね」
大して面白くもなさそうにユミルはマーブルを見下ろし続ける。
「ボクが犯人だったら、マーブルはキリト達の敵になる、って。……どうするの? それともボクと戦う?」
「…………!!」
意外な問いに、マーブルの肩が大きく震えた。
「…………………」
彼女は長く沈黙し……そして、立ち上がると同時に震える両手でゆっくりと大鎌を構えた。
……俺達に向けて。
「なっ……」
「マーブルさん!?」
アスナは今度こそ純粋に驚愕し、数歩退く。だが今は迷いで彼女に剣を向けられないでいるようだった。
「マーブルさん、ダメッ!!」
遠くから動けないリズベットが叫ぶも、マーブルは僅かに目を伏せ、ゆっくりと首を振った。
「……本当に、本当にごめんなさい。……だけど、私はさっきも言ったわ」
ガシャ、と大鎌の切先を、最も近いアスナに向けて此方を向きながら、マーブルはユミルの方へと歩み寄り俺達から遠ざかる。
「私には……これしか、出来ることがないのよっ……!」
その顔は、迷いと迷いがせめぎ合い、今にも涙を流して崩れてしまいそうな……あまりに脆い、苦渋と悲しみの表情だった。
「今まで私は、この子に何もしてあげられなかった、なにも変えてあげられなかった。……ならせめて、この子が思うようにしてあげたいの……! この子だって、なにか理由があってこんな事をしているはずなのよ!」
「そんなのっ……」
倒れるリズベットは、満足に動かぬ手で地面の土をぐしゅ、と強く握り潰した。そして叫ぶ。
「そんなのっ、あたし達だって分かってます! でも、やっぱりそんなの間違ってる!」
「――だったらどうすればいいのよッッ!?」
「っ……!?」
リズベットの叫びに、マーブルがそれ以上の声で叫び返した。その勢いで、ついに彼女の目の端から小さな涙の粒が弾け飛んだ。
「今からこの子を力尽くで捕まえて、牢獄に連れて行くの!? ならこの子は、一人ぼっちの
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ