第三章
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「東の島国ですね」
「そうです、アジアの」
「あの国の料理みたいですね」
「あそこもこうしたものを食べるのですか」
村長もその鮭や鱒の生肉、醤油や唐辛子で味付けされたものを食べている。
「そうなのですね」
「はい、あそこはかなりです」
「生の魚肉が好きですね」
「こうしたものは刺身と呼んでいて」
「好んで食べます」
「そのことは知りませんでした」
長老としてはというのだ。
「こうした食べ方はロシア人は驚きますが」
「はい、ロシアでは確かにです」
「一般的ではないですね」
ロシア人としてだ、二人も答えた。
「生の魚肉を食べることは」
「スモレンスクでも」
二人がいるその街でもというのだ、二人はそこの大学にそれぞれ准教授として勤務しているのだ。
「魚は食べますが」
「火を通した熱いものが多いです」
「他のお料理の様に」
「ロシア料理ですね」
見ればナナイ族の生魚料理以外にはロシア料理も多く出ている、ピロシキやボルシチといったロシアの標準的な料理がだ。
「そうしたものを食べています」
「あちらでは」
「こちらでもです」
村長は彼の村の話もした。
「大抵ロシア料理になっていますね」
「食べるものは」
「そうなっていますか」
「家もそうで」
村長はさらに言った。
「家具も」
「ロシアですね」
「完全に」
「これもですよ」
村長は気さくに笑って自分が着ている服を指し示した。
「ロシアの服ですね」
「はい、そうですね」
「それも」
「ロシアの人もいて」
それにというのだ。
「ロシア化っていうんですか」
「そうなっていると」
「言われるんですね」
「中国の方の人達は」
そちらのナナイ族はというと。
「中国の家に住んで」
「服もですね」
「中国の服ですね」
「漢族の」
つまり漢民族のというのだ。
「そうなっていますよ」
「今の貴方達はですか」
「そうした状況ですか」
「はい、何しろ昔の状況ですと」
かつてのナナイ族の風俗習慣の生活で暮らしていてはというのだ。
「厳しいですからね」
「今は、ですか」
「そうした生活は」
「はい」
こうグローニスキーとグルシチョフに言った。
「電化製品もありますしね」
「テレビもですね」
「それも」
「はい、昔の生活は」
とても、という口調での言葉だった。
「暮らせませんよ」
「ではナナイ族の人達も」
「今は」
「こうした感じです」
ロシア人の生活と変わらないというのだ。
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