第十六話 王子誘拐
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にした。
「キミたち」
「ああ?」
「何だよ王子サマ」
「キミたち。今、僕を開放すれば、キミたち二人は不問にしよう。
「何? なに言ってんだ? コイツ」
「ついに、恐怖で頭がおかしくなったか?」
「最後通牒だ。この要求が受け入れられない場合、非常手段を持ってキミたちを排除しよう」
「杖の無いメイジに何が出来るっていうんだ」
「王子サマよ。この銃が見えないのか?」
「要求は受け入れられないと?」
「当たり前だろ?」
「馬鹿言ってんじゃねぇ!」
「……残念だ」
瞬間、マクシミリアンの目が光った!
「おおおおぅ!?」
最初に、ピストルを手に持っている男を狙う。
哀れ、男は足首から下を残し、紫色の灰になった。
「ま、魔法!? 何で???」
「キミで終わりだ」
「糞があああああああ!」
もう一人の男は、腰に挿したピストルを取ろうと腰に手をかけたがそこまでだった。
二つの光線を胸に受けた男は、この世のものとは思えない悲鳴を上げながら灰になった。
久々に破壊光線を放ったマクシミリアンの顔は青くなっていた。
「うっ……に、人間の死に方じゃない」
破壊光線を人間に放つのは初めてだったマクシミリアン。
そして、人を殺めるのも初めてだった。
嘔吐感を堪えながら、部屋の中を見渡すとロープが切れそうな包丁を見つけた。
「今更、人を殺したからって、何を吐きそうになってるんだ。今まで何人も間接的に殺してるだろうに……」
と、包丁をロープを切りながら、マクシミリアンは呟いた。
今までも、そしてこれからも、王家として為政者として、間接的に殺すであろう人々の数は星の数に上るかもしれない。
殺すのが嫌だ。と言って、歩みを止めてしまったら、責任を放棄してしまったら、更に多くの人々を死なせる事になるだろう。
(引いても、止まっても、進んでも、間接的に人々を殺し続ける。人を殺さないやり方なんて無い。ならば……)
そう、ならば。
『ならば進もう。死んでいった人々を背負ってトリステインを強くしよう……』
そう、心に決めマクシミリアンは部屋から出て行った。
「あ、待てよ?」
マクシミリアンは部屋に引き返すと、男たちが持っていた二丁のピストルと包丁一つを持って帰ってきた。
「……あんまり、急進的なのも考え物かもね」
そう、ひとりごちた。
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