第十六話 王子誘拐
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と、脱出方法を考えていると、一つ、忘れていた事を思い出した。
「そうだ、キミたち。護衛の魔法衛士が二人居たはずだが、彼らもこの屋敷の何処かに捕まっているのかい?」
と、刺激しないように、やんわりと聞いた。
「ガッハハハハ! やっぱり温室育ちの王子サマは一人じゃ何も出来ないみたいだなぁ〜!」
(コイツは一体何なんだ)
執拗に絡んでくる男たちに辟易するマクシミリアン。
しかし、魔法衛士たちに安否が分からない為、何とかして聞き出そうと不本意ながらも、自慢の演技で聞き出そうと試みた。
「ううっ、ぐすっ」
「あーあー、泣かすなよ、後でどやされるぞ」
「うるせぇな、傷を付けるとは言ったが、泣かすなとは言ってねぇだろ!」
「ううっ、怖いよう怖いよう、誰か助けに来て……」
ちょっと、子供っぽかったかな? と、思いつつも人間の加虐心に訴えかける様な演技に男たちは見事に引っかかった。
「ひひひ、王子サマ、残念だが助けは来ないぜ。アンタを守る魔法衛士はみんなヴァルハラへ旅立ったからな」
「ええっ!?」
「そうさ、誰も助けに来ないからな。せいぜい大人しくしてるんだな」
「うう、そんな……」
演技をしながらも、マクシミリアンの腹の中は怒りと殺意でで真っ黒だった。
(よくも、優秀な人材を……)
激情のまま、目の前の男たちを殺そうとしたが、何とか思いとどまった。
(こいつらはいつでも殺せる。今は状況の整理をしないと……)
マクシミリアンは心に決める。
……しばらくして、人相の悪い連中は退屈したのか、色々とぼやき始めた。
「他の平民連中は、口を開けば、王子様王子様と……飼い慣らされやがって」
「こっちは王子サマのおかげで商売上がったりだぜ。糞が」
どうやら、アンダーグランドの連中もマクシミリアンの改革で被害を被った様だ。
(そういえば、クーペの密偵団にマフィア等の反社会的勢力の監視と排除を指示してたっけ)
マクシミリアンは、この誘拐事件の背後関係がおぼろげながら見えてきた気がした。
(オレの改革で職を奪われたり被害を受けたり。と、そういった連中が一発逆転の賭けて誘拐したって言うのか?)
しかし、別の疑問も浮かぶ。
(それじゃ、何でド・フランドール伯はこの誘拐事件に関わったんだろう? アントワッペン市が潤えば領主のド・フランドール伯も、その恩恵に与れるはず……)
色々と仮説が思い浮かんだが、直接聞いてみないことには何も分からない。
(直接、聞いてみるしかないな……)
そう、決意して実行する事にした。
まずマクシミリアンは最後通牒のつもりで、男たちをこちら側に引き込むこと
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