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アインクラッド篇
断章 南十字の追憶
日常に潜む“渇き”
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について言うのは憚られた。幸い、お兄様は特に追及することはなかった。
「ストレスでも貯まってんのか?モンスター相手に憂さ晴らしなら付き合うぞ?」
「いえいえ、嬉しいですけど遠慮します。」
「そっか。じゃ、帰ろうぜ」
振り返るお兄様に向けて、聞かれないように小さく呟く。
「だって…………それっぽっちじゃちっとも足りないんですよ?」
瞬間、お兄様が振り向いた。何か顔には驚きが見てとれる。
「?、お兄様、どうかしたんですか?」
「ん?いや、何でもないよ。」
そう言ってお兄様は再び歩き出した。帰るまでの間、幸せで一杯だったが、やはり渇きは消えなかった。
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