一章
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正直、意外だった
こんなガキが随分と大それたことを考えていたことも、こいつの言う昔話にも
計略性もなにもないのはガキらしいが、言ってのけることは、一言で表すなら"反乱"だ。ちっさいガキが考えることじゃない
こいつがどんな環境にいたのか、どんな景色を見て育ったのかは知らない。本当の雫神がどうだとか……どうでもいい
ただ、こいつは嘘を言ってはいない
俺に対して一度も誤魔化そうとはしていない
「契約、ねぇ……」
ほんと、とんでもないことをいう
俺がどんな奴かもわからねぇだろうに。極端なことをいえば、強いか弱いかもまだ見せてねぇ
行き当たりばったりなのか、それとも何かを信じているのか……
「……まだ、足りねぇな」
「え?なにが?」
「おまえの言葉には足りないものがある」
だが、続きはあとだ
俺はガキの背中をひっつかみ、バンと地を蹴った。嵐のような銃声が響き、俺は素手で天井を突き破った
軍の連中
町のやつらが通報したか
「うぇはあはあまやなあまはぁぁぁぁぁぁぁ!??」
「うっせぇな。放すぞ」
「だって!だって!だってぇぇぇぇ!!!!」
地上からの銃弾が俺に当たるはずもない。俺としてはなにも驚くことはねぇが、いきなり空を飛び銃声が響けば……まぁガキはこうなるか
「おい、シルク。見ろ。あれがおまえの言う雫神を追いやった連中の一味だ」
軍は雫神がつくったもの。世界平和と題した、ただの反乱防止の兵力
俺が生まれたときからの敵
「あれが、お前の敵だ。それをわかった上で見てろ 」
俺はシルクをかつぎ、翼を大きくうちならした。風を切り、急降下していく。勇ましい軍人たちの顔はみるみる恐怖を浮かべ、しまいには大声で悲鳴をあげた
銃声が響く前に、血しぶきがとんだ
「っひぃ……!」
「目を閉じるな!!」
剣を召喚し、悲しい抵抗の銃弾を弾く。ならば剣でと挑む軍人たちを俺は一人残らず斬り倒していった。魔剣が妖しく輝き血を吸い上げ、人も剣も真っ二つにしていく
剣をうちならす音はない
あるのは悲鳴としぶきのあがるおと
言うまでもなく俺のやったことは惨殺だった
「…………」
ガキは返り血だらけの体で死体のやまを見て呆然としていた
「わかってなかっただな」
血の一滴も刀身に残さない魔剣を俺は消し、体についた大量の血を拭った
「お前の望みはコレた。そこに理由があろうがなかろうが関係ない。ただ死人がでて、お前の目的とは浅い関係のやつが死ぬ。おまえの言う冒険者がしたこととそう変わらねぇ」
どんな崇高な目的でも立派な考えでも
だから
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