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魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
109話:『星々(れきし)』(前編)
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と、とたたらを踏むように後退する男。繰り出された左手は、右手と同じように変身≠オていた。


「おおぁああああああッ!」
「ッ、ゴァッ!?」


 そして再び左足を踏み込み、右拳を突き出した。
 咄嗟に両腕を交差させ、繰り出される拳を防ぐ男。だがその威力に男の両足が地面から離れ、吹き飛ばされる。

 右拳を突き出した状態で、息を荒げる男。しかしその姿は既に、人のものではなくなっていた。
 複眼は赤く、頭部には輝く二本角。赤い鎧の所々は金色に縁どられている。

 それはかつて、伝説を引き継ぎ、そして伝説を超え、塗り替えた戦士の姿……


 ―――戦士クウガの姿だった。


「何故だ…何故お前があの人≠フ姿になれるッ!?」


 見放された、その筈だ。
 怒りにも似た感情を乗せ、そう叫ぶ男。対しクウガとなった男は、両手を開いて眺めた。

 ……そうか、わかった。
 見放されたんじゃなかったんだ。そしてアイツ≠フ事も、今わかった。
 自分を犠牲にするんじゃない、アイツ≠切り捨てる訳でもない。まだ選択肢(みち)はあったんだ。

 ならば、今自分がすべき事は…ッ!


「―――おおおぉぉぉぉぉぉ!!」


 両手を握り前を見据えた男は、雄叫びを上げ走り出した。
 前へ進む足が水面に当たり、バシャリと音を立てる。















 駆ける、駆ける。
 ただ暗い空間を行先もなく駆ける。空間(そこ)にあるのは、一群の星々のみ。


『キミは大切なものを失っても、戦う覚悟がありますか?』
「………」


 突然声を掛けられた、それは背後から聞こえる。
 気配も感じられる、多分その人だろう。どこかで聞いたことのあるような声だ。

 だが、振り返ることはしない。ただ空間(ここ)を駆けるのみ。


『これから先、キミには多くの悲しみが降りかかる、それを乗り越えることが必要になる』
「あぁ、分かってます」


 おそらくこの先、救えない命もあるだろう。助けてという声が聞けても、助けられない時だって来るだろう。
 それでも、戦い続けなくちゃいけない。それを超えていかなければ、救えないものもある筈だ。越えなければ、失うものが更に増えてしまう。


「だから戦い続けるんだ、大切なものを守る為に…俺が為すべきことをする為に…ッ!」


 そう言い切った時、後ろからヴァイオリンの美しい旋律(メロディー)が聞こえてきた。多分彼が弾いているのだろう、走っていながらも心が穏やかになる気がした。


『力を貸します、僕の―――僕達≠フ力を』


 だから信じて進んでください、目に見えない繋がりを信じて。
 その
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