第三章
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「七つの波が過ぎると波が静かになるとかね」
「ここは港町だったからね」
銀の海岸に面しているだ、まさに港町だ。
「今は観光地だけれど」
「そうなんだよね」
「それでもね」
アメリアは首にかけてあるネックレスを触った、緑の貝殻達を重ねて造られているそれを。
「今はリゾート地になってるわね」
「主にね」
こんな話もした二人だった、そしてルイージはあらためて言った。
「そして他にもね」
「港町だから」
「漁に出ているご主人の安全を祈る為」
「七が幸運の数字だからかしらね」
「若しくは」
ルイージはその説をさらに話した。
「漁や貿易に出ているご主人が帰る一週間前になったら」
「一枚ずつ脱いでいく」
「そんな説もあるよ」
「そこは本当に諸説ね」
「あるね」
「けれど七枚はくのはね」
そのスカート達をだ。
「それは事実ね」
「そのことはね」
「諸説あっても」
それはそれとしてとだ、アメリアは今度はそのスカート達を右手に持って自分でも見ながらそのうえで話をした。
「このスカートが素敵なのは」
「紛れもない事実だね」
「そのことはね」
「だから君もだね」
「この服好きなのよ」
ナザレのこの服がというのだ。
「華やかだしね」
「そのスカートいいね」
一番上の赤いスカートを見てだ、ルイージは言った。鮮やかな赤に白い花達が飾られている。
「それでその下のスカートもね」
「一枚一枚はいている」
「それでもね」
「選んではいてるから」
その一枚一枚をというのだ。
「どれもいいものよ」
「そうだよね」
「最近子供達も着てるし」
「また増えてきていいよ」
「この服を着てる人がね」
こんなことを話しながらだ、二人は。
教会でミサの時間になると静かに加わった、そして。
二人は程なくして結婚した、ささやかだが式も挙げた。その後で。
アメリアは二人の新居において結婚してから新しく仕立てなおしたそのナザレの服を着て夫に見せた、そのうえで彼に尋ねた。
「どうかしら」
「うん、そちらもね」
結婚してからの服もとだ、ルイージは微笑んで答えた。
「いいよ」
「そうなのね」
「似合ってるよ」
見ればだ、アメリアの今の服は。
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