第十五話 陰謀の都市
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て行ってもらえないかな」
そう言って、ライトの魔法を唱えると、ハイティーンかもしくは20前後の美しい顔が映し出された。
「畏れながら殿下、私は部屋を間違えたわけでは有りません……夜伽に参りました」
「ぶふっ!」
女の告白に、マクシミリアンは思わず噴き出した。
「よ……夜伽ぃ!?」
「御意」
よく見ると女の格好は、とても『まともな』格好ではなかった。
男を誘う為に作られた様な、布の面積の少ない服を着ていたからだ。
「そ、それは、その、誰に頼まれたのか? ド・フランドール伯か?」
「……御意」
平静を保とうと、女に話しかけると、夜伽を命じたのはド・フランドール伯だと、答えが返ってきた。
「……ド・フランドール伯も意外と下衆な事をする」
昼間の好青年のイメージがボロボロと崩れ落ちた。
「殿下、お情けを……頂けませんでしょうか?」
女は急かす様に誘う。
……ゴクリ。
と、思わず生唾を飲み込んだ。
マクシミリアンは現在12歳半ばで精通はすでに済ませてあるし、性知識は前世の記憶を含めてしっかり備わっている。
しかも、帝王学の一環に代々王家に伝わる、あっち関係の技術も叩き込まれた……実践はしてないが。
(実践のチャンスでは!?)
と、本音では、この誘惑に乗りたかった。
だが、あからさまな謀略への警戒心を抱き、徐々に冷静さを取り戻した。
「……」
女は黙ってマクシミリアンを見ている。
一方、マクシミリアンの脳裏に、カトレアの顔がよぎった。
(結婚前だ。せめて、操を立てよう)
ついに女を抱く気が失せた。
深呼吸して気分を落ち着ける。
「ごめん、取り乱してた」
「……いえ、お気になさらずに」
「まあ、何だ。抱かずに帰すって、選択肢は無いのかな?」
「それでは、私がお叱りを受けてします」
「それなら……」
マクシミリアンは部屋の片隅に置いてあったワインボトルを手に取った。
「付き合ってくれないかな?」
「……それでしたら、お相手いたします」
女は何処かホッとした様な雰囲気を出した。
(なんだ、やっぱり抱かれたくなかったんじゃないか)
女の本音が少し見えた事で、気が楽になると別の疑問が浮かんできた。
(そういえば、護衛の魔法衛士が入ってこないな)
いつもなら、部屋の異変を感じて一声かけるのだが、今回はそれが無い。
「ちょっと、待ってて、魔法衛士に話をつけるから。ミス……え〜っと……名前を聞いてない」
「失礼いたしました、フランシーヌです。フランシーヌ・ド・フランドール」
「フランドール!?」
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