第十五話 陰謀の都市
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下、目的はブリージュの件だけなのでしょうか?」
「うん? どういう事?」
「それは……その。ブリージュの捜索許可のみで殿下自らお越しになられるのは……その失礼ですが、おかしいと思いまして」
「その事か。いやね、トリステイン第二の都市を、一度見学したいと、常々思っていてね。良い機会だったからブリージュの件と合わせたのさ」
「左様でございましたか。大変失礼しました」
ド・フランドール伯は納得したような素振りを見せた。が、何処か納得がいかない表情を一瞬見せた事に、マクシミリアンは気付かなかった。
……その後、マクシミリアンはド・フランドール伯と別れ、歓迎会に出席した貴族たちに愛想を振りまきながら時間をつぶす。
愛想を振りまきながらも、マクシミリアンは貴族たちを観察する。
(改革によって、一番、恩恵を受けたのは平民だけど、平民たちが豊かになれば領地は豊かになり、領地は豊かになれば貴族たちも豊かになる。家臣団のみんなは分かってくれたみたいだけど……)
参加した貴族らの表情を見れば見るほど、マクシミリアンの気分は暗くなる。
貴族たち半数以上に、愛想を振りまきながら、意識改革とノブレス・オブリージュの徹底を説いて回ったが、のれんに腕押しで、彼らはいかに平民から搾取するか、そればかり考えていてマクシミリアンの話に耳を貸そうとしなかった。
突如、振って沸いた好景気に便乗して己の欲望を満たそうとする姿は、さながら肉に群がる野獣を連想させた。
(貴族が聞いて呆れる……どこが貴いと言うのか。まったく……嫌だ嫌だ、早い事アントワッペン発展の鍵をつけたら帰ろう)
その後も言い寄ってくる貴族たちの相手をしながら、時間をつぶし、パーティーはつつがなく終了した。
☆ ☆ ☆
パーティーの後、ひとっ風呂浴びたマクシミリアンは二人の魔法衛士を伴って廊下を歩いていた。
酒に酔い風呂に入ってサッパリした為、パーティーの時の様な不機嫌さは若干和らいでいる。
「二人とも、今日はお疲れ様。僕はそろそろ休むから……」
「御意」
「お休みなさいませ」
ド・フランドール伯に宛がわれた部屋に入ると人の気配がする。
「……ん?」
真っ暗な部屋で目を凝らすと人影が見えた。
人影は身動き一つしない。
「……」
「そこに居るのは誰か?」
マクシミリアンは、杖を手に人影に尋ねる。
「畏れながら……」
聞こえてきたのは若い女の声だった。
「女の人が僕の部屋に何の用か? 部屋を間違えたのなら、特別に不問にするから早く出
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